企業に起こる労務トラブルにはどのようなケースが考えられるのでしょうか？

実際に起きた労務トラブルの事例から労務トラブルについて学んでいくとともに、労務トラブルの予防策について考えてみたいと思います。自社の労務トラブルに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

ある企業では遅刻や無断欠勤を繰り返し、仕事の能力がいっこうに向上しない従業員へ解雇を通達しました。

ところが、その企業には従業員の解雇に関する明確な規定がないため、従業員は解雇に応じませんでした。会社の利益につながらない従業員を雇い続けてもメリットはありませんが、規定がない以上解雇することができないのです。

ある企業では退職金に関する明確な規定はありませんでしたが、長年勤めていた退職者には退職金が出るという慣行がありました。

ところが、転職してきてから数年しか経過していないのに、退職金を要求する社員がいたのです。しかし、退職金に関する明確な規定がないため、労務トラブルに発展してしまいました。最終的には裁判沙汰になり多くの時間と手間をかけることになりました。

このような労務トラブルが起こるリスクを下げるためには、どうしたら良いのでしょうか？

労務リスクを下げるために重要なのは、適切な就業規則を制定することです。中途半端な就業規則では従業員の解雇や退職金に関する細かな規定がないため、従業員が企業に無理な要望を出してくる可能性があります。

このような労務リスクを下げるためにも、あらかじめ適正な就業規則を制定することが大切です。賃金や人事評価、福利厚生などあらゆる面で就業規則を制定しておけば、労務リスクを下げることができます。