【判例】中央労基署長事件(過重労働による労災認定)

● 内 容

中央労基署長事件(過重労働による労災認定)  福岡地裁 平成30627

 

● 概 要

・会社は新聞紙の制作、発行を業として、従業員は経理部員として働いていた。

・従業員は、入社から10年後に気分障害(疑い)を発症し、その後自殺した。

・従業員の母親(以下、遺族)は、従業員の自殺は業務が原因であったとして労災申請をしたが、労働基準監督署長は病気の原因は業務上によるものと認められないとし不支給と決定した。

・遺族は、行政に再審査請求を行ったが、不支給の結果が覆らなかったため訴訟を提起した。

・裁判所は、従業員の業務内容が精神障害を発病させたと言い切れないとし、遺族の請求を退けた。

 

● 解 説

労災保険は“保険”という言葉が付くので生命保険や自動車保険と似た様な運用がなされます。

生命保険等で保険金が下りるかは、〇〇生命等の保険会社が予め定められた条件に照らして判断します。

労災保険は、〇〇生命が労働基準監督署というイメージで捉えるとわかりやすく、労基署が怪我や病気の原因を調べ、業務が原因であれば支給を行います。

 

今回は、その労基署の判断に遺族が納得できず、裁判を起こしました。

仕事中の怪我は原因が明確ですが、精神疾患の場合には、仕事とプライベートのどちらに原因があったのか判断が難しいので、様々なケースを例示した認定基準が設けられています。

 

その基準の中で労働時間は中心的な役割を果たし、例えば労災認定されるケースとして次の例示があります。

◇「仕事量が著しく増加」+「その後、月100時間程度の時間外労働」

◇「未経験な仕事で緊張を迫られた」+「その後、月100時間程度の時間外労働」

 

本判例では、時間外労働時間の認定には、“パソコンのアクセス時間-業務外のサイトへのアクセス時間”という客観的なデータを用いられ直近で100時間超の時間外労働があったことが確認されましたが、前半の“仕事量が著しく増加した”等の事実はないと裁判所は判断したため、労働基準監督署の労災不支給決定は妥当ということになりました。

 

但し、2019年4月から働き方改革に伴う法改正で100時間以上の残業は禁止となります。

今後、労災として認定はされなくても、遺族から慰謝料を請求されることは十分に想定できます。

労働時間は従業員任せでなく、会社が常に把握し管理することが必要ですね。

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