【判例】ネギシ事件(妊娠中の解雇の有効性)

● 内 容

ネギシ事件(妊娠中の解雇の有効性) 東京高裁判決 平成28年11月24日

 

● 概 要

・会社は、カバンの製造、卸を行う会社で、社員12名、パート12名と小規模である。

・従業員は中国籍の女性で社員として働き、パートタイマーを指導、管理する立場にあった。

・従業員の妊娠が判明し、会社もこれを認識した。

・その数カ月後、会社は従業員に協調性等の問題があるとして解雇した。

・従業員は、そのような事実はなく、妊娠を理由とする解雇だと主張して訴えを起こした。

・地裁は、協調性等の問題については事実として認められないため解雇は無効と判断した。

・会社は、この判断に納得がいかず控訴したところ、一転して高裁で解雇は有効と判断され最高裁で確定した。

 

● 解 説

妊娠中の女性の解雇が裁判で認められたという極めてまれな判例です。

従業員を応援する弁護士達のコメントを見るとマタハラ事件という受け止め方をしており、判決に怒りの声を上げています。

 

今回のケースは、以下の2つの見方で結論が分かれます。

・会社が従業員の妊娠を嫌がり、協調性がない等の理由を後から作った

・解雇せざるを得ない問題があり、たまたま妊娠の時期と重なった

地裁では前者を高裁では後者を選択したということになります。

 

通常、協調性がない等の理由でいきなり解雇が認められるケースはなく、指導した記録や本人が書いた始末書が何枚か必要で、今回のケースではこれらは全くありませんでした。

労働者側の弁護士もこれを主張し、地裁の裁判官も考慮したと考えられます。

 

一方で、高裁の裁判官は、「小さい会社だし解雇は初めてなので書類が残っていなくても仕方がない。そもそも解雇に先立ち、始末書などを書かせなければならない理由はない。」「小規模な会社では配置換えは事実上困難なので人間関係の軋轢を解消するために解雇以外の手段がないこともわかる。」と明言しました。

 

判決文を見ると、この従業員が原因で多くのパートさんが実際に退職しているようですし、従業員に対して会社が口頭で指導をしている状況も把握できるので、形式よりも実態を見たのだと思います。

しかし、この規模の会社で、このような案件で最高裁まで戦うことは大変だったと思います。

従業員数が少ない中小企業では、採用面接は極めて重要な仕事ですね。

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