【判例】美容院A事件(共同創業者の労働者性)

● 内 容

美容院A事件(共同創業者の労働者性) 東京地裁判決 平成28年10月6日

 

● 概 要

・美容院Aは、美容師見習いの頃からの知合いであったXとYが費用と報酬を分け合うという約束で設立された。

・Yは代表取締役に就任し、機材の提供のみで出資金を出せなかったXは名刺上で役員となっていたが役員として登記されていなかった。

・大幅な赤字となり、会社は一方的にXの報酬を57⇒22万円に減額した。

・Xは、減額から1年以上経過した後に差額の支払いを求めて裁判を起こした。

・会社は、Xへの報酬を役員報酬であり労働法で守られる対象でないこと、また仮に給与と考えても1年以上減額分の差額を求めていないことから減額を受け入れていたと主張した。

・地裁は、Xの報酬を給与分と役員報酬分に分けて、給与分について減額を認めず差額の支払いを命じた。

 

● 解 説

共同経営の難しさを痛感させられるようなケースですね。

上手く行っているときは相乗効果を生み出しますが、赤字になると綺麗ごとを言っていられなくなり、判決文を読むと居たたまれない気持ちになります。

 

今回のケースは、大きく2つの争点があります。

①Xは従業員か? 役員か?

②1年以上減額された給与を受け取っていながら合意していないという主張が認められるか?

 

①については、実態から従業員であることは否定できないとして、報酬の57万円を役員報酬分(20万円)と給与分(37万円)に裁判所が分割しました。

②については、納得していたとする証拠がないので合意があったと認めないと判断しました。

 

知り合いの社労士から同じようなケースを聞いたことがあります。

社長から「社員とは友達だから、労働契約書なんていらない」と言われ、真に受けて特に何もしてこなかったところ、あるトラブルがきっかけで喧嘩になり訴訟まで発展し、大きな支払いが必要になったそうです。

 

契約書を前面に出してガチガチに固めることは日本人には馴染みませんが、今回のケースでは役員であればきちんと登記しておくことや、報酬の減額については書面を交わすことが最低限必要ですね。

それが親しき中にも礼儀ありという事かと思います。

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