中小企業庁は、本年4月に、「2017年版中小企業白書・小規模企業白書」を公表しました。
いずれにおいても、中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性及び中小企業・小規模事業者の雇用環境と人手不足の現状についての分析などが行われています。
最近、“人手不足・人材不足”がクローズアップされることが増えています。中小企業白書等ではどのように分析されているのか? 概要を紹介します。
◆◆ 中小企業白書・小規模企業白書の要約(人手不足の現状・対応など) ◆◆
<人材不足への対応/多様な人材、外部リソース活用の取組>
○成長・拡大志向企業は中核・労働人材ともに不足感が強く、中核人材の不足は、成長・拡大を目指す企業の新事業展開に影響。図 1参照
○女性、シニア等多様な人材を活用できている中小企業は、生産性向上にもつながる業務の合理化・標準化に取り組んでおり、収益力を向上。
○機械化・IT化や付加価値向上で人材不足を克服する企業も存在。成長・拡大を目指す企業では、マーケティング、デザインなど高度な人材が求められる業務でも、アウトソーシングのニーズが増大。
図 1 事業展開の方針別に見た、中核人材の不足による経営への影響
なお、同月に公表された「財務局調査による『賃金の動向』について」においても、複数回答で賃金引上げを行う理由を調査対象企業に聞いたところ、「人材の確保」のためと答えた企業の増加が目立ち、前年度の31.6%から38.2%に増加しているとのことです。
この調査結果を受けて、財務省も、「賃金を上げないと人が集まらないという人手不足の傾向が強まっていることが鮮明になった」という見解を示しています。
☆ “労働条件・環境を見直して人手を確保する”、そのような経営方針が、大企業のみならず、中小企業・小規模企業にも必要となってきたといえそうです。