労働契約法の一部を改正する法律が平成24年8月10日に公布されました。
この改正では、有期労働契約*について、次の3つのルールが新たに設けられました。
*有期労働契約とは、1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約のことをいいます。
1 「雇止め法理」の法定化(平成24年8月10日施行)
一定の場合には、使用者による雇止めが認められないことになるルールです。
2 無期労働契約への転換(平成25年4月1日施行)
有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換させなければならないルールです。
3 不合理な労働条件の禁止 (平成25年4月1日施行)
有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルールです。
数回に分けて新ルールを解説します。今回は、「雇止め法理」の法定化をみていきましょう。
◆◆ 1 「雇止め法理」の法定化 ◆◆◆
有期労働契約は、使用者が更新を拒否したときは、契約期間の満了により終了します。こうして雇用関係が終了することを「雇止め」といいます。雇止めについては、労働者保護の観点から、過去の最高裁判例により一定の場合にこれを無効とするルールが確立しています。今回の法改正によって、それが労働契約法に条文化されました。
対象となる有期労働契約 | ➊ 過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止めが無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認められるもの →東芝柳町工場事件(最高裁昭和49年7月22日判決)の要件を規定したもの
➋ 労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められるもの →日立メディコ事件(最高裁昭和61年12月4日判決)の要件を規定したもの |
要件と効果 | 上記の➊➋のいずれかに該当する場合に、使用者が雇止めをすることが、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、雇止めは認められず、従前と同一の労働条件で有期労働契約が更新されます。 |
必要な手続 | 条文化されたルールが適用されるためには、労働者からの有期労働契約の更新の申込みが必要です(契約期間満了後でも遅滞なく申込みをすれば条文化されたルールの対象となります)。 |
今回紹介した「雇止め法理の法定化」は、すでに施行されています。
有期労働契約で雇用する場合は、就業規則において更新の基準等を明確にしたり、採用の際、有期の雇用であることを理解してもらうことが大切です。
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