【労務情報】高年齢者の雇用状況が公表されました

高年齢者雇用安定法では、65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「高年齢者雇用確保措置」を講じるよう義務付け、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況を報告することを求めています。

厚生労働省は、平成24年6月1日現在の雇用状況報告を提出した「31人以上規模」の企業約14万社の状況をまとめ、公表しました。

 

*高年齢者雇用確保措置……①定年の定めの廃止、②定年の引上げ、③継続雇用制度の導入、のいずれかの措置のことをいい、事業主は、そのいずれかの措置を講じなければならないこととされています。なお、定年の引上げ、継続雇用制度の義務年齢は、本来は「65歳」ですが、老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引き上げに合わせた特例措置により、平成25年3月までは「64歳」に引き下げられています。

 

――――――――――高年齢者雇用確保措置等の実施状況の概要――――――――――

◎ 高年齢者雇用確保措置の実施状況

高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は97.3%〔前年比1.6ポイント上昇〕

 ◆中小企業(従業員31人~300人規模。以下同じ)は97.0%〔同1.7ポイント上昇〕

 ◆大企業(従業員301人以上規模。以下同じ)は99.4%〔同0.4ポイント上昇〕

●高年齢者雇用確保措置の内訳 高年齢者雇用確保措置の実施済企業(136,561社)のうち、  ・「定年の廃止」により当該措置を講じている企業は2.7  ・「定年の引上げ」により当該措置を講じている企業は14.7

  ・「継続雇用制度の導入」により当該措置を講じている企業は82.5

   ※継続雇用制度により高年齢者雇用確保措置を講じる企業の比率が断然高い。

 

●継続雇用制度の内訳

 「継続雇用制度の導入」により高年齢者雇用確保措置を講じている企業(112,713社)のうち、

  ・継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていない企業は42.8

  ・継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定で定めている企業は57.2

 

★高齢化が進むわが国では、高齢者の雇用の確保は急務の課題です。

 厚生労働省でも、今後、次のような取組みを進めることとしています。

・雇用確保措置が未実施である企業が3,806社(31人以上規模企業)あることから、都道府県労働局、ハローワークによる個別指導を強力に実施し、早期解消を図る。・平成25年4月1日から改正高年齢者雇用安定法が施行されるため、周知の徹底を図るとともに、希望者全員が65歳以上まで働ける制度の導入に取り組んでもらうよう、企業に積極的に働きかける。・少子・高齢化の進行、将来の労働力人口の低下、団塊世代の65歳への到達等を踏まえ、年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向け、65歳までの雇用確保を基盤として「70歳まで働ける企業」の普及・啓発に取り組む。

 

上記の平成25年4月1日からの高年者雇用安定法の改正は、「高年齢者雇用確保措置を未実施の企業」と「継続雇用制度の導入により高年齢者雇用確保措置を講じている企業(特に、継続雇用制度の対象者を限定する基準を労使協定で定めている企業)」に、大きな影響を及ぼす改正です(高年齢者雇用確保措置違反に関する企業名公表制度も新設されました)。

改正への対応等については、気軽にご相談ください。

 

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