未払賃金が請求できる期間が延長されました(令和2年4月1日~)
令和2年4月1日施行の労働基準法の改正により、同日から、未払賃金が請求できる期間(賃金請求権の消滅時効期間)が延長されました。
―――――――――― 賃金請求権の消滅時効期間の延長を確認 ――――――――――
令和2年(2020年)4月1日以降に支払期日が到来するすべての労働者の賃金請求権について、消滅時効の期間を賃金支払期日から5年(これまでは2年)に延長しつつ、当分の間はその期間は3年となります。
●消滅時効の期間の延長の対象となるもの
金品の返還(労基法23条、賃金の請求に限る) 、賃金の支払(労基法24条)、
非常時払(労基法25条)、休業手当(労基法26条)、出来高払制の保障給(労基法27条)、 時間外・休日労働等に対する割増賃金(労基法37条)、 年次有給休暇中の賃金(労基法39条9項)、未成年者の賃金(労基法59条) |
㊟年次有給休暇の請求権の消滅時効の期間(2年)や、
退職金の請求権の消滅時効の期間(5年)に変更はありません。
☆企業として注意が必要です。
たとえば、令和2年4月に支払うべき賃金の一部に未払いがあり、その状態が続いていたとすると、3年後に、“3年分をまとめて請求される”といったことも起こります(これまでは最大で2年分でした)。
これまでにも増して、未払賃金を発生させないために、労働時間の管理やこれに基づく給与計算を正確に行っていく必要があります。
なお、この改正においては、「賃金台帳などの記録の保存期間の延長」、「付加金の請求期間の延長」も併せて行われています。
新型コロナウイルスに社員が感染 取引先への情報提供等について本人同意は必要?
新型コロナウイルスの拡大防止のための企業の対応について、個人情報保護法相談ダイヤルに多くよせられている質問に関する回答が、個人情報保護委員会から公表されました。
どの企業にも起こり得る事例が取り上げられていますので確認しておきましょう。
―――― 個人情報保護法相談ダイヤルに多くよせられている質問に関する回答 ――――
問1.社員に新型コロナウイルス感染者と濃厚接触者が出た。社内公表する場合の注意点は何か。
(答) ご指摘のケースについて、同一事業者内での個人データの提供は「第三者提供」に該当しないため、社内で個人データを共有する場合には、本人の同意は必要ありません。
また、仮にそれが当初特定した利用目的の範囲を超えていたとしても、当該事業者内での2次感染防止や事業活動の継続のために必要がある場合には、本人の同意を得る必要はありません。
問2.社員が新型コロナウイルスに感染し、当該社員が接触したと考えられる取引先にその旨情報提供することを考えている。社員本人の同意を取ることが困難なのだが、提供することはできるか。
(答) 当該社員の個人データを取引先に提供する場合、仮にそれが当初特定した利用目的の範囲を超えていたとしても、取引先での2次感染防止や事業活動の継続のため、また公衆衛生の向上のため必要がある場合には、本人の同意は必要ありません。
☆企業がデータベース化するなどして保有している社員の個人情報(個人データ)について、本人の同意なき目的外利用や第三者提供は、原則として禁止されています。
しかし、上記のQ&Aの事例は、接触者やその周りにいる方の人命にかかわる問題ですから、例外が認められるといったところです。
社員のプライベートに配慮しつつ、感染拡大防止のために必要な情報は、提供・公表すべきということになります。
なお、そのような際に、感染者等に対するいじめや嫌がらせが行われることのないように留意すべきことを、社員に周知・啓発するなどの対応も必要となります。