● 概 要
・会社はスポーツクラブの運営等を業としていた。
・従業員は6つの店舗を統括する、いわゆるエリアマネジャー的な地位にあった。
・会社はエリアマネジャーは管理監督者であるとして残業代の支払いをしていなかった。
・従業員は、退職後にエリアマネジャーは管理監督者に当たらないとして時間外手当、遅延損害金、未払い時間外手当金と同額の付加金について支払いを求め、訴訟をおこした。
・地裁は、従業員の勤務実態から管理監督者であるとし、従業員による時間外手当の請求を認めなかった。
● 解 説
以前、大手ハンバーガーチェーンの店長が管理監督者として認められなかった判決があり、世の中のほとんどの管理監督者は裁判になれば否認されてしまう空気がありました。
その流れに一石を投じるのが、この判例になります。
今回の件で、裁判所は管理監督者性を以下の点で検証しました。
検証項目 | 検証結果 |
部門全体の統括的な立場か | 全従業員の中の上位約4%の位置している予算案の作成やイベント企画の裁量があった |
人事権限を有しているか | 出退勤管理や採用、人事考課、昇進等に影響力があった |
処遇について | 下位の従業員との逆転はなく、基本給でも倍近い差があった |
自己の出退勤について | 業務時間に拘束されず遅刻による賃金控除がなかった |
特に、人事権限について従業員側は、1次考課に留まり最終的な決定権がないと主張したものの、「その主張だと、通常の会社では人事部長や役員以外の者は、到底、管理監督者になり得ないこととなる。」として、そこまでは期待していないことを明確にしました。
いずれにしても、検証結果を見ると一般の従業員に比べ、かなり特別な存在である必要が分かりますので、管理監督者の取り扱いがある企業では注意が必要です。
なお、管理監督者としても“深夜勤務手当”の支払いは免除されませんので合わせてご確認ください。
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