「出生時育児休業の創設」などを盛り込んだ育児・介護休業法等の改正法が成立

 

 

令和3年の通常国会において、出生時育児休業の創設などを盛り込んだ「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」が成立しました。

 

企業実務に影響がある改正事項が含まれていますので、施行期日を含め、改正の全体像を確認しておきましょう。

 

 

 

 

―――――― 令和3年国会で成立した育児・介護休業法等の改正の全体像 ―――――

 

 

 

●男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設【育児・介護休業法の改正】

 

子の出生後8週間以内に4週間まで取得することができる柔軟な育児休業の枠組み〔出生時育児休業〕を創設する。

 

 

<出生時育児休業の特徴>

 

① 休業の申出期限については、原則休業の2週間前までとする。

② 分割して取得できる回数は、2回とする。

③ 労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整した上で休業中に就業することを可能とする。

〔施行期日:公布日から1年6か月を超えない範囲内で政令で定める日〕

 

 

●育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け【育児・介護休業法の改正】

 

次の措置を講ずることを事業主に義務付ける。

 

① 育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置

② 妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置

〔施行期日:令和4年4月1日〕

 

 

●その他の改正【育児・介護休業法の改正及び雇用保険法の改正】

 

① 育児・介護休業法において、育児休業の分割取得、育児休業の取得状況の公表の義務付け、有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和などの改正を行う。

② 雇用保険法において、育児休業給付に関する所要の規定の整備を行う。

 

 

 

 

 

☆ この改正の施行に向けて、就業規則(育児・介護休業規程)の変更が必要となります。令和4年度から段階的に施行されますので、早めに準備しておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

傷病手当金や保険料免除の見直しを盛り込んだ健康保険法等の改正法が成立

 

 

 

令和3年の通常国会において、「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。

 

企業実務に影響がある改正事項も含まれていますので、施行期日を含め、改正の全体像を確認しておきましょう。

 

 

 

――――――― 令和3年国会で成立した健康保険法等の改正の全体像 ――――――

 

 

 

 

●後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し【高齢者医療確保法】

 

後期高齢者医療の被保険者のうち、現役並み所得者以外の被保険者であって、一定所得以上(※)であるものについて、窓口負担割合を2割とする。

 

※課税所得が28万円以上かつ年収200万円以上(単身世帯の場合。複数世帯の場合は後期高齢者の年収合計が320万円以上)を予定。経過措置も含め、政令で規定。

〔施行期日:令和4年10月1日から令和5年3月1日までの間において政令で定める日〕

 

 

●傷病手当金の支給期間の通算化【健康保険法、船員保険法】

 

傷病手当金について、出勤に伴い不支給となった期間がある場合、その分の期間を延長して支給を受けられるよう、支給期間の通算化を行う。

〔施行期日:令和4年1月1日〕

 

 

●育児休業中の保険料の免除要件の見直し【健康保険法、船員保険法、厚生年金保険法等】

 

短期の育児休業の取得に対応して、月内に2週間以上の育児休業を取得した場合には当該月の保険料を免除するとともに、賞与に係る保険料については1か月を超える育児休業を取得している場合に限り、免除の対象とすることとする。

〔施行期日:令和4年10月1日〕

 

 

●その他の改正
 

任意継続被保険者制度の見直しなどを行うこととする。

 

 

 

 

 

☆ この改正法による改正事項の中で最も注目を集めているのは、後期高齢者医療における窓口負担割合の見直しですが、企業実務を考えると傷病手当金の支給期間の通算化と育児休業中の保険料免除要件の見直しが重要といえます。

 

これらについては、改めて紹介させていただきます。

 

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