令和2年9月1日「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定

 

 

厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定していますが、令和2年9月1日に、このガイドラインが改定されました。

 

今回は、労働時間の管理(簡便な労働時間管理の方法(「管理モデル」))を紹介します。

 

 

 

 

 

―「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和2年9月改定)」/管理モデルの概要 ―

 

 

<労働時間の管理>

 

労働者が事業主を異にする複数の事業場で労働する場合には、労働基準法38条1項に基づき、労働時間を通算して管理することが必要である。

 

労働時間の通算は、自社の労働時間と、労働者からの申告等により把握した他社の労働時間を通算することによって行い、通算によって時間外労働となる部分のうち、自社で労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払うことが原則である。

 

このほか、労働時間の申告等や通算管理における労使双方の手続上の負担を軽減し、労働基準法が遵守されやすくなる次のような「管理モデル」によることができる。

 

簡便な労働時間管理の方法(「管理モデル」)

 

〇副業・兼業の開始前に、A社(先契約)の法定外労働時間とB社(後契約)の労働時間について、上限規制(単月100時間未満、複数月平均80時間以内)の範囲内でそれぞれ上限を設定し、それぞれについて割増賃金を支払うこととする。

 

図①

 

 

これにより、副業・兼業の開始後は、他社の実労働時間を把握しなくても労働基準法を遵守することが可能となる。

 

〇「管理モデル」は、副業・兼業を行おうとする労働者に対してA社(先契約)が管理モデルによることを求め、労働者及び労働者を通じて使用者B(後契約)が応じることによって導入される。

 

 

 

 

☆ 「管理モデル」を導入し、上記の図のような働き方をしたとすると、後契約のB社は、常に時間外労働に関する割増賃金を支払うことになります。

 

他の会社に勤務する者を雇う場合、自社での残業の有無にかかわらず、割増賃金込みの給与を支払うことになる可能性があることも考慮して、採用するか否かを判断する必要がありますね。

 

 

 


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注目の非正規格差訴訟 最高裁の判断は?

 

 

 

令和2年10月、非正規格差訴訟の最高裁の判決が相次いで言い渡されました。

 

「同一労働同一賃金」の実現に向けた働き方改革関連法による旧パートタイム労働法・労働契約法の改正が、大企業において令和2年4月から施行されていますが、その施行以来、初めての最高裁の判決ということで、その判断に注目が集まっていました。

 

 

 

 

――― 非正規格差訴訟の最高裁の判決(令和2年10月13日・15日)」の概要 ―――

 

 

 

<最高裁での争点>

 

一連の裁判で争点となったのは、正規の労働者と非正規の労働者との間の賞与の格差、退職金の格差及び扶養手当等の格差です(その格差が不合理であるか否かを判断)。

 

<最高裁の判断の要点>

 

原 告 項 目 不合理

か否か最高裁の判断とその要点アルバイト

〔大学/秘書的な業務〕賞 与

私傷病による欠勤中の賃金×令和2年10月13日判決

・正社員と職務の内容等に一定の相違があり、支給しないことは不合理とまではいえない

(使用者は労働契約法旧20条に違法しない)契約社員

〔売店/販売業務〕退職金×契約社員

〔日本郵便/配達等の業務〕扶養手当○令和2年10月15日判決

・正社員と職務の内容等に相応の相違があることを考慮しても、手当を支給しないことや休暇を与えないことは不合理

(使用者は労働契約法旧20条に違反する)年末年始勤務手当○年始期間の祝日給○有給の病気休暇○夏期冬期休暇○

 

 

 

 

☆ いずれも、不合理性の判断は賃金項目ごとに考えるとした平成30年6月の最高裁の判例をもとに、各企業における労働の事情や条件をふまえ、労働契約法旧20条の趣旨に沿って、不合理か否かが検討された結果です。

 

さまざまな事情が考慮された結果ですので、何かの事情が変われば、違う判断となることも考えられます。また現行のパートタイム・有期雇用労働法8条や「同一労働同一賃金ガイドライン」によれば判断が変わる可能性がありますので、自社の非正規社員の個々の待遇について整理し、違いがあれば具体的に説明できるようにしておかなければなりません。ご不明な点がありましたら、お声かけください。

 

 

 

 

 

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