【判例】NHK名古屋放送局事件(リハビリ出勤と最低賃金)

● 内 容

NHK名古屋放送局事件(リハビリ出勤と最低賃金) 名古屋地裁 平成29年3月28日

 

● 概 要

・従業員は、うつ病により休職していた。

(休職とは?:従業員が病気や怪我等により働けなくなったときにすぐに解雇せず、治療のための時間的猶予を与える制度)

・休職中に、復職に向けてリハビリ出勤(給与なし)をしていた。

・その後、従業員の主治医は治癒したという診断書を作成し、従業員も復職を求めた。

・一方で、会社側の産業医等は、不安定な働き振りから復職は時期尚早と判断した。

・会社は、規定で定めた休職期間中に病気が治らなかったため解雇した。

・従業員は、解雇は無効であること、またリハビリ出勤した際に支給されなかった賃金の支払いを求めて裁判を起こした。

・ 地裁は、解雇は有効であり、リハビリ出勤についても会社に賃金の支払いの義務がないとして、従業員側の請求を退けた。

 

● 解 説

労働法の判例、特に解雇では会社が負けるものばかりですが、珍しく会社が勝った事例です。

今回の判例では、次の2つが争点となりました。

〇会社は休職からの復職を認めるべきか

〇リハビリ出勤に賃金を払うべきか

 

復職については、勤務できる状態にあれば認める必要があり自動的に解雇無効となります。

従業員側の主治医1名の治癒の判断に対して、業務内容をより理解している会社側の医師2名が労務不能とジャッジしたことにより裁判所も勤務できる状態にないと判断しました。

結果、休職期間(解雇猶予期間)満了により、解雇は有効となりました。

会社の実情を理解している産業医としっかりと連携をとることは、とても大事ですね。

 

リハビリ出勤中の賃金についても、以下の実態から賃金の支払いは不要としました。

・作業の成果や責任等を求めていない

・健康保険から傷病手当金をもらっており交通費も支給している

・作業自体の負担は本来の水準と比べて小さい

 

特にうつ病などの場合、リハビリ出勤等を経て、復職することは理にかなっています。

その際は、通常の業務との違いを明確にして、事前に説明した上で進めることで無用なトラブルを避けるようにしましょう。

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