【判例】プレナス事件(管理監督者性)

● 内 容

プレナス事件(管理監督者性) 静岡地裁 平成29年2月17日

 

● 概 要

・会社は弁当販売店を営み、従業員は店長として勤務していた。

・会社は店長に5万円の手当を支給して残業代の支払いが不要となる“管理監督者”として取り扱っていた。

・従業員は、店長は管理監督者でないとして、残業代の支払いを求めた。

・会社はこれに応じなかったため、従業員は未払い残業代等として約200万円の支払いをもとめて訴えを起こした。

・ 地裁は、従業員側の主張を認め未払い残業の支払いを命じた。

 

● 解 説

労働基準法の中で、“監督若しくは管理の地位にある者”(いわゆる「管理職」)は、労働時間等に関する規定の適用除外となると定められ、残業代の支払いが不要となっています。

これは経営者にとって便利な規定なので積極的に活用される一方で、際限のない長時間労働を招き従業員の不満につながることが多く、たびたび“管理職か否か”で裁判が起こっています。

 

今回の判例では、裁判所は次の3つのポイントで検討し、管理監督者でないとの結論を導きました。

①職務の内容、権限等

店舗のアルバイトの採用をしていたが、解雇や時給の決定の権限はない

経営上の重要な事項の決定等には関与していない

②労働時間に関する裁量

自ら出退勤時間や休日を設定していたが、アルバイトの予定によっては穴埋めで出勤する場合があり、まったくの自由裁量とは言えない

③賃金等の処遇

管理職としての手当はあったが、総支給額で本部の非管理職と変わらず、同業他社の水準よりも下回るので、管理職にふさわしい処遇とは認められない

 

裁判で管理職であることが否定されると大変なことになるので、どのような準備が必要かよく聞かれることがあります。

そもそも論で考えると管理職であることは誇らしいことですし、処遇の面においても他の従業員よりも優遇されるはずなので、従業員自ら管理職でないなどと主張する必要はありません。

よって、管理職であることが損、または良いように使われていると感じさせない環境を整えることが大事になります。

 

 

 

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