【判例】福原学園事件(更新期限満了の雇止め)

● 内 容

福原学園事件(更新期限満了の雇止め)   最高裁 平成28年12月1日

 

● 概 要

・会社は短期大学を運営しており、従業員は講師として働いていた。

・雇用の形は、契約期間は3年、但し1年ごとの更新で更新は勤務成績等で判断することが規定され、さらに3年経過の段階で、双方が望めば期間の定めない雇用契約(無期契約)に切り替わるルールであった。

・会社は、入社から1年で契約を終了する旨を従業員に通知したが、従業員は不服として訴えを起こし、争いを続けている間に契約期間の限度3年が到来した。

・高裁では、1年目の雇止めの効力を否定し、さらに3年経過後も前提条件が変わっていないため、無期契約に移行したと認めるのが相当と判断した。

・最高裁は、3年経過後に無期契約に移行したという部分について否定した。

 

● 解 説

この会社の雇用ルールは、3年という上限を定めて雇入れ、優秀であれば無期契約(いわゆる正社員)に切り替えて定年まで働いてもらうという設計です。

 

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会社は初めの3年の内の1年目で契約終了を希望し、その可否について争いになりましたが、裁判所で否定されました。

更に、高裁は上限3年で雇用契約を終了することも否定し無期雇用契約に転換したとしましたが、流石に最高裁で否定されました。

1年目で辞めてもらいたいと評価した従業員を定年まで雇わないといけないと思うとゾッとしますので、最高裁まで争った甲斐があったということでしょう。

 

しかし、1年ごとに契約を更新するルールでありながら、そこは否定されたままです。

企業同士の契約と異なり、労働契約は契約書の内容にとどまらず実態的にどうであったかまで裁判官が踏み込んで判断を行います。

 

今回の判例では、1年更新というものが形骸化して、実態的に正社員として雇用するための3年間の試用期間(お試し雇用期間)として運用されていた状況を見られ、余程のことがないと3年以内で契約を終了してはダメと結論付けられました。

契約書の内容と共に「運用」の大切さを改めて認識させられる事例ですね。

 

 

 

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