【判例】プロシード事件(従業員への損害賠償請求)

● 内 容

プロシード事件(従業員への損害賠償請求)   横浜地裁 平成29年3月30日

 

● 概 要

・会社は情報通信業で、従業員はシステム開発業務に従事していた。

・従業員は、入社から8か月程経過した時に退職を申し出て、翌日から欠勤をした。

・会社が従業員に確認したところ、不安抑うつ状態との診断があり退職希望を受け入れた。

・その後、会社は従業員が退職から2か月後に他社で勤務を開始している事実を把握し、詐病による退職と判断した。

・会社は、取引先との間に生じた損害賠償として約1271万円を求め訴えた。

・従業員は、損害賠償の請求は不当として会社に330万円の支払いを求め反訴した。

・ 裁判所は、会社の請求は棄却し、従業員の主張を支持し、110万円の支払いを命じた。

 

● 解 説

「担当している業務のことはそっちのけで、突然社員が辞めてしまった。」という経験は、どんな会社でもあると思います。

私自身も何度も経験したことがあるので、会社側の憤りはよくわかります。

今回のケースは、取引先との契約が履行できず実際に損害が生じた事例ですから、なおさら許せなかったのでしょう。

 

今の社会では会社の解雇ばかり取り上げられますが、従業員も原則として有期労働契約の場合は、やむを得ない事由がなければ一方的に退職することはできません。

よって、会社がそれによって損害を被った場合には従業員を訴えることができます。

しかし、訴えたところで裁判所が従業員に支払いを命じる可能性は極めて低く、弁護士費用と手間だけがかかるため、実際に訴えるケースはほとんどありません。

 

よって、今回の判例は一定の関心を持って見られたのですが、以下の点で裁判所は会社の訴えを退け、さらに従業員への支払いを命じました。

・従業員の年収の5倍もの賠償金の請求はやりすぎ

・実際に診断書があるため、詐病とは断定できない

・そもそもこの退職に会社も合意していた(合意退職であった)

 

しかもこの裁判はネット上に広がり、今後の採用活動にも大きな影を落とすことが想像できますから、会社にとっては、本当に厳しい結論となってしまいました。

会社として取り組むべきは、不適格な人材を採用しないように面接の見直し、また退職されないような入社時の受け入れやその後のフォロー体制の構築に尽きますね。

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