【判例】長澤運輸事件(定年後の再雇用における不利益変更)

● 内 容

長澤運輸事件(定年後の再雇用における不利益変更)   東京地裁 平成28年5月13日

 

● 概 要

・会社は、セメント等の輸送の事業をしており、従業員ら(3名)は“正社員”としてトラックの運転等の業務に従事していた。

・従業員らは、定年退職後に1年単位で労働契約を締結して更新する“契約社員”として、正社員当時よりも安い給与で正社員当時と同じ仕事をすることになった。

・従業員らは、労働組合を活用して団体交渉で正社員当時の給与水準を維持するように求めたが、会社は応じなかった。

・従業員は、契約社員に対して不合理な労働条件を定めることを禁止する労働契約法に触れるとして条件の見直しと差額の支払いを求め訴えた。

・裁判所は、従業員らの主張を認めた。(控訴あり)

 

● 解 説

定年は60歳というのが一般的な常識ですね。

これは法律で60歳を下回る年齢での定年設定が禁止されていることが背景にあり、ほとんどの会社が最下限の60歳に定年を設定しています。

 

しかし、年金の問題もあり少しでも長く高齢者に働いてもらうため、会社に対して労働者が希望すれば65歳まで継続して働くことができる措置が義務付けられています。

 

これを受けて多くの会社では60歳定年で一旦退職してもらい、改めて契約社員として賃金を減額して再雇用する方法をとりました。

この際に、役職を外したり、労働時間を短くしたり、転勤や職種変更を免除したりなどの変更を合わせて行うことが一般的ですが、今回のケースでは全く同じ労働条件のまま、賃金だけ減額したことが、合理的な理由を欠き一方的だとして問題視されました。

 

会社とすれば本来定年退職で辞めてもらいたいところ、「国の都合で仕方なく65歳まで雇用することになり、更に賃金減額に合意して入社しているのに何故今更?」という思いでしょうし、労働組合との団体交渉も大変だったと思います。

まだ地裁判決レベルですが、正社員当時と全く同じ労働条件のまま、給与だけ減額するというのは一定のリスクがあるという認識が必要です。

今後に備えて条件面の見直しや、逆に労働力が不足する時代に入りますから発想を切り替えて定年を65歳に引き上げバリバリと働いてもらうという考えもありでしょう。

定年引上げには、助成金も活用できそうですので上手く絡めていきましょう。

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