【判例】福島県教組事件(賃金の全額払いの原則)

● 判 例

福島県教組事件(賃金の全額払いの原則)  最高裁 昭和44月18日

 

● 概 要

・従業員(X)は、公立学校の教職員であった。

・学校は、Xが職場離脱をしていた期間があるため本来は払わなくてよい勤勉手当を誤って支払ってしまった。

・学校は、翌月Xに返納を求め、これに応じなければ、翌月給与から減額する旨を通知した。

・Xがこれに応じなかったため、学校は通知通り給与から減額した。

・Xは、労基法の賃金全額払いの原則に違反するとし、減額分の支払いを求めて提起した。

・裁判所は、Xの請求を棄却した。

 

● 解 説

労働基準法では、賃金の支払いについて5つの原則を設けています。

 

① 通貨払い : 賃金は通貨で支払わなければならない 

② 直接払い : 賃金は、直接労働者に払わなければならない 

③ 全額払い : 賃金は全額払わなければならない 

④ 毎月1回以上払い : 賃金は毎月1回以上支払わなければならない 

⑤ 一定期日払い : 賃金は毎月一定の期日に支払わなければならない 

 

今回の判例は、③について争われました。

全額払いの趣旨は、賃金が生活の糧となっている労働者から、一方的に減額をすることを禁止するものですが、過払い分の精算まで禁止されるのかが争われました。

 

判決は、原則として相殺することは許されないが、計算間違い分などを翌月に調整することは、合理的な理由があり、実質的に全額支払いの状態と変わらないし、減額の方法やその額も従業員の生活の安定を脅かすものではないとして、従業員の請求を棄却しました。

 

一般の感覚からすると、貰い過ぎたお金は返すのが当たり前で裁判までする感覚は理解できませんが、賃金となると少しややこしいということですし、たとえば1年間間違って余分に払い続けた家族手当をさかのぼって控除する場合は、この判例に当てはめることはできないでしょう。

 

普段、何げなくやっているユニフォーム代や社内互助会の会費の控除は、労使協定を締結している場合のみ認められていますので、もし無い場合には速やかに締結しましょう。

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