令和3年の通常国会で育児・介護休業法等を改正する法律が成立しましたが、
その主要な改正規定は、令和4年4月から段階的に施行されることになっています。
令和3年9月末には、この改正法に関する改正省令と改正指針も公布され、
改正規定の詳細がかなり明確になりました。ここで、ポイントを整理しておきましょう。
まずは、改正規定の項目と施行期日を確認しておきましょう。
――――令和3年の育児・介護休業法等の改正❶/改正規定の項目と施行期日――――
施行期日 | 育児・介護休業法の改正規定の項目 |
令和4年4月1日 | ① 雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化
② 有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和* |
令和4年10月1日 | ③ 出生時育児休業(産後パパ育休)の創設*④ 育児休業の分割取得* |
令和5年4月1日 | ⑤ 育児休業取得状況の公表の義務化(従業員数1,000人超の大企業が対象) |
*雇用保険法においても、育児・介護休業法に応じた改正が行われます。
令和4年4月1日からは、育児休業給付金・介護休業給付金について、有期雇用労働者に関する要件が緩和され、
令和4年10月1日からは、出生時育児休業や分割取得に係る育児休業も、育児休業給付金の対象となります。
☆ この育児・介護休業法等の改正により、ほとんどの企業において、
就業規則(別規則としている育児介護休業規程など)の改定が必要となります。
また、①の「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」のように、
企業に新たな義務を生じさせるものもあります。
脳・心臓疾患の労災認定基準を約20年ぶりに改正
脳・心臓疾患の労災認定基準が約20年ぶりに改正され、令和3年9月15日から適用されることになりました。
報道でも大きく取り上げられていましたが、どのように変わったのか? ポイントを確認しておきましょう。
労働時間の基準などは維持しつつ、次のような改正が行われました。
―――――――― 脳・心臓疾患の労災認定基準の改正のポイント ―――――――――
〔厚生労働省資料〕
☆ 今回の改正の最重要点は、長期間の過重業務の評価に当たり、
労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することが明確化されたことです。
いわゆる過労死ライン(発症前1か月間に100時間又は2~6か月間平均で月80時間を超える時間外労働は発症との関連性が強い等)は、
これまでどおりですが、これ以外の負荷要因も含めて総合評価することが明確に示されました。
たとえば、過労死ラインを下回っていても、勤務間インターバルが短ければ、
総合評価の結果、労災認定される可能性があるということになります。
今後は、労働時間以外の負荷要因にも、より一層注意を払う必要があるでしょう。
新しい認定基準の詳しい内容等については、気軽にお尋ねください。