● 判 例
日産自動車村山工場事件(職種変更命令の有効性) 最高裁 平成元年12月7日
● 概 要
・会社は自動車の製造を行い、従業員らは機械工として10~20年勤務していた。
・会社は、生産体制を変更することに伴い、人事の公平性のため各人の経験や希望などを考慮することなく、機械的に他の職務への配置転換を命じた。
・社員らは、この配置転換は権利の濫用であるとして、会社を訴えた。
・地裁では、社員らの主張が認められたが、高裁では従業員らの請求を棄却し、最高裁で確定した。
● 解 説
会社を取り巻く環境も目まぐるしく変わる中、経営資源の効果的な配分は経営者にとって、とても重要な仕事になります。 また、それに伴う組織の見直しや配置転換も頭を悩ませるところかと思います。
一方で、社員としては、何十年もやってきた仕事を変えられることに対する抵抗感もあり、何とか自分の経験や強みが発揮される仕事を続けたいと考えます。
今回の紛争は、その相容れない考えの衝突により発生したものです。
高裁では、
① 就業規則において職種変更の命令に関する根拠規定があること
② 会社で実際に職種変更が行われた例があること
を前提に、配置転換は一般的なことであるから、職種変更命令権が会社にあるとし、さらに労働力配置の効率化及び企業運営の効率化等の見地から、今回の配置転換については、やむを得ない措置として容認できると判断しました。
今回の判例に関わらず、会社が何らかの権利を行使しようとする場合、以下の2点がポイントになります。
◆その根拠が就業規則に書いているか?
◆それは就業規則に書いているだけで、形骸化していないか?
よく、「○○をしたいけど大丈夫か?」というご質問を受けることがありますが、この2つに照らして判断すれば、大きく外すことはないと思います。
会社として権利行使したいことがあれば、まず就業規則に明記し周知すること、そしてその権利を行使する場面があれば、ルールに則り、きちんと使うことを心掛けましょう!
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