【判例】アサヒ急配事件(労働者性の有無)

● 概 要

・会社は運送業を営み、正社員十数名の他、運転手として「業務委託契約」を締結した者が約100名いた。

・「業務委託契約」は6ヵ月間で締結され終了の1箇月前までに双方から解約の意志が示さなければ自動更新するとされていた。

・会社は複数回更新後に、1箇月以上の余裕を持って解約の通知を行った。

・従業員は、実質的に労働者であるため、解約は“解雇”であるとし会社の権利濫用(解雇無効)を主張した。

・裁判所は会社と従業員の関係が労働基準法の労働者と認められ、かつ常用性もあるため解雇をするには客観的に合理的な理由が必要とし、それがないため解雇無効と判断した。

 

● 解 説

労働契約法の改正により、有期労働契約を5年超えて更新した場合、無期労働契約への転換が求められることになりました。

さらに、上がり続ける社会保険料の問題もあり、それらの対策として従業員との「労働契約」を「業務委託契約」としているケースが散見されます。

 

しかしながら、この判例のように実態的に従業員と変わらない者との契約の場合、「業務委託契約書」を作成し受託者からしっかり署名・捺印を取ったとしても、それだけで労働者性が否定される訳ではないことが分かります。

 

一方で、同種の判例で、労働者ではないとされ契約終了が認められたものもあります。

ポイントは以下の点です。

① 受託者が稼働予定日を指定していた
② 受託者が会社への来ることが義務付けられていない
③ 業務中でも私用で業務から離れたり、中断することが可能であった
④ 報酬は運送料金ベースであった (労働時間とは関係ない)

今回のケースでは、労働時間により報酬が増減することや、事実上兼業ができない実態や上記以外に接客や服装について指導があったことなどが総合的に勘案され労働者と認定されました。

労働者と認定されると払っていなかった残業代の債務が会社側に生じる可能性がありますので、大きなリスクを抱えることになります。

業務委託契約がある場合は、その実態について確認をしてみましょう!

 

 

 


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