令和2年7月 政府は「成長戦略実行計画案」を提示

 

成長戦略実行計画案を提示 兼業・副業の環境整備の方向性を示す

 

令和2年7月、政府は「成長戦略実行計画案」を提示しました。

その中で、「兼業・副業の環境整備」の方向性が示されたことが話題になっています。

ウィズ・コロナ、ポスト・コロナの時代の働き方としても、兼業・副業、フリーランスなどの多様な働き方への期待が高いことなどから、環境整備が必要とされました。

 

ポイントは次のとおりです。

 

 

 

―――――――成長戦略実行計画案/兼業・副業の環境整備のポイント―――――――

 

 

兼業・副業に関しては、希望する者は増加傾向にあるが、実際に兼業・副業をしている者の数は横ばい傾向である。その背景には、労働法制上、兼業・副業先と労働時間を通算して管理することとされている中、「兼業・副業先での労働時間の管理・把握が困難である」として、兼業を認めることに対する企業の慎重姿勢がある。

 

そのため、労働時間の管理方法について、次のような方向で、労働政策審議会における審議を経て、ルール整備を図る。

 

 

 

1.労働者の自己申告制について

 

兼業・副業の開始及び兼業・副業先での労働時間の把握については、新たに労働者からの自己申告制を設け、その手続及び様式を定める。

 

この際、申告漏れや虚偽申告の場合には、兼業先での超過労働によって上限時間を超過したとしても、本業の企業は責任を問われないこととする。

 

 

 

2.簡便な労働時間管理の方法について

 

本業の企業(A社)が兼業を認める際、以下①、②の条件を付しておくことで、A社が兼業先(B社)の影響を受けない形で、従来通りの労働時間管理で足りることとなる。

 

① 兼業を希望する労働者について、A社における所定の労働時間を前提に、通算して法定労働時間又は上限規制の範囲内となるよう、B社での労働時間を設定すること。

 

② 上記の場合、A社において所定の労働時間を超えて労働させる必要がある場合には、あらかじめ労働者に連絡することにより、労働者を通じて、必要に応じて(規制の範囲内におさまるよう)、B社での労働時間を短縮させることができるものとすること。

 

また、これにより、A社については、従来通り、自社における所定外労働時間についてのみ割増賃金を支払えば足りることとなる。

 

 

 

 

☆ 簡単にいうと、「新たに労働者からの自己申告制を設け、本業の企業が兼業・副業先の影響を受けないで、労働時間や割増賃金の管理ができるよう、ルール整備を図る」といった方向性が示されています。

 

具体的にどのようなルールが設けられるのか、労働政策審議会における審議の動向に注目です。

 

 

 

 

 

 

契約に当たり押印をしなくても契約の効力に影響は生じない(政府が見解を示す)

 

 

 

 

民間における押印慣行は、テレワークの推進の障害の一つとされていますが、その見直しに向けた自律的な取組が進むよう、内閣府、法務省及び経済産業省がQ&Aを作成し、公表しました。

 

そのポイントを確認しておきましょう。

 

 

 

 

―――――――押印についてのQ&A(令和2年6月19日)のポイント―――――――

 

 

 

●冒頭の問が話題に!(問1)

 

 契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。

 

・私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、 書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない。

・特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、 契約の効力に影響は生じない。

 

 

 

●また、他のQ&Aから要点を拾うと、次のようなことが書かれています。

 

・民訴法第 228 条第4項には、「私文書は、本人[中略]の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」という規定がある。この規定により、契約書等の私文書の中に、本人の押印(本人の意思に基づく押印と解釈されている。)があれば、その私文書は、本人が作成したものであることが推定される。

 

・形式的証拠力を確保するという面からは、本人による押印があったとしても万全というわけではない。そのため、テレワーク推進の観点からは、必ずしも本人による押印を得ることにこだわらず、不要な押印を省略したり、「重要な文書だからハンコが必要」と考える場合であっても、押印以外の手段で代替したりすることが有意義であると考えられる。

 

 

 

●最後に、次のような問が紹介されています。(問6)

 

問 文書の成立の真正を証明する手段を確保するためにどのようなものが考えられるか。

 

・次のような様々な立証手段を確保しておき、それを利用することが考えられる。

 

①継続的な取引関係がある場合

→取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存

 

②新規に取引関係に入る場合

→契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存

 

→本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでのPDF送付)の記録・保存

 

→文書や契約の成立過程​​(メールやSNS上のやり取り)の保存

 

③電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログインID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)

 

 

 

 

☆行政手続ではハンコが必要となることがまだまだ多いですが、民間同士の契約においては必須ではないということが明確にされています。

 

もちろん、相手があっての契約ですから、取引先などとの取り決めが必要となることもあるでしょうが、脱ハンコに動く企業が増えてくると予想されます。

 

なお、政府は、行政手続における脱ハンコの議論も進めていますので、動きがあればお伝えします。

 

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