「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)」により、失業等給付の受給資格を得るために必要な「被保険者期間」の算定方法が改正されました(この改正規定は、令和2年8月1日施行)。
そのポイントを確認しておきましょう。
――失業等給付の受給資格を得るために必要な「被保険者期間」の算定方法の改正――
失業等給付の支給を受けるためには、離職をした日以前の2年間に、「被保険者期間」が通算して12か月以上(特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前の1年間に、「被保険者期間」が通算して6か月以上)あることが必要です。
この「被保険者期間」の算定方法が、令和2年8月1日以降は、以下のように改正されます(厚生労働省の資料より)。
☆ 今回の改正を踏まえ、離職日が令和2年8月1日以降の方の「離職証明書」の記載方法も変更されます。不明な点があれば、気軽にお尋ねください。
複数就業者への保険給付が変わります 労災保険法の改正が令和2年9月施行
「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)」の労災保険法関係部分が、令和2年9月1日から施行されることになりました。
この改正により、複数の会社等に雇用されている労働者の方々(複数就業者)への労災保険給付が変わります。改正のポイントを確認しておきましょう。
―――――――― 労災保険法の改正(令和2年9月~)のポイント ――――――――
複数就業者への労災保険の保険給付が変わります。ポイントは、次の2点です。
1.賃金額を合算して保険給付額等を決定することに!
現 行:災害が発生した勤務先の賃金額のみを基礎に給付額等を決定
改正後:すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額等を決定
〈補足〉対象となる給付は、休業(補償)給付、遺族(補償)給付や障害(補償)給付など
<イメージ図(厚労省資料)>
2.負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価することに!
現 行:それぞれの勤務先ごとに負荷(労働時間やストレス等)を個別に評価して労災認定できるかどうかを判断
改正後:それぞれの勤務先ごとに負荷(労働時間やストレス等)を個別に評価して労災認定できない場合は、すべての勤務先の負荷(労働時間やストレス等)を総合的に評価して労災認定できるかどうかを判断
㊟ これらの改正後の規定は、施行日(令和2年9月1日)以後に発生した負傷、疾病、障害又は死亡に対する労災保険の保険給付について適用されます。
☆ 令和2年9月1日以降に、複数の会社で勤務している社員が、業務災害や通勤災害により労災保険の保険給付を受けることになった場合、すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎として給付額を決定するなど、すべての勤務先の情報を加味して給付が行われることになります。
どのような書類や手続が必要となるのかは、まだ明確になっていませんが、今後は、社員の副業・兼業に関する情報を把握することが重要になっていきます。