平成28年4月1日を施行日として健康保険制度が改正されます。そのうち、企業としても知っておきたい標準報酬の上限の改正と傷病手当金等の計算方法の改正を紹介します。
◆◆ 標準報酬の上限と傷病手当金等の額の計算方法の改正 ◆◆
●標準報酬の上限の改正
① 標準報酬月額について、3等級区分が追加され、その上限の額が139万円とされます。
<改正前> <改正後>
等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額 | 等級 | 標準報酬月額 | 報酬月額 | |
第47級 | 1,210,000円 | 1,175,000円以上 | ➡ | 第47級 | 1,210,000円 | 1,175,000円以上1,235,000円未満 |
第48級 | 1,270,000円 | 1,235,000円以上1,295,000円未満 | ||||
第49級 | 1,330,000円 | 1,295,000円以上1,355,000円未満 | ||||
第50級 | 1,390,000円 | 1,355,000円以上 |
〈補足〉健康保険の標準報酬月額の上限改定に伴い、改定後の新等級に該当する被保険者の方がいる対象の事業主に対して、平成28年4月中に管轄の年金事務所より「標準報酬改定通知書」が送付されます(事業主からの届出は不要)。
② 標準賞与額について、その上限(年度の累計額)が573万円とされます。
<改正前> <改正後>
標準賞与額の上限(年度の累計額) | 標準賞与額の上限(年度の累計額) | |
5,400,000円 | ➡ | 5,730,000円 |
● 傷病手当金・出産手当金の計算方法の改正
傷病手当金について、給付額を増やすために、休業直前に標準報酬月額を相当高額に改定し、過剰な傷病手当金を受給する事例が増えていました。そのため、その計算の基礎が見直されることになりました(出産手当金も同様)。
<改正前> <改正後>
傷病手当金・出産手当金の額(1日当たり) | 傷病手当金・出産手当金の額(1日当たり) | |
{休んだ日の標準報酬月額}÷30×3分の2 | ➡ | 支給開始日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各 ÷30×3分の2月の標準報酬月額の平均額
㊟ 標準報酬月額が定められている月が12か月に満たない場合は、{ }の部分を、次のいずれか少ない額として計算 ◦支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均額 ◦前年度の9月30日における全被保険者の標準報酬月額の平均額(協会けんぽでは28万円) |
〈補足〉端数処理:①30で割った額➡1の位を四捨五入。 ②3分の2を乗じた額➡小数点があれば、小数点第1位を四捨五入。