令和元年(2019年)6月初旬に首相官邸で開催された未来投資会議で、「成長戦略実行計画案」が提示されました。
兼業や副業を後押しすることやデジタル市場のルール整備を進めることなどが盛り込まれていますが、最も注目を集めているのが「70歳までの就業機会確保」です。
そのポイントを紹介します。
―――――― 70歳までの就業機会確保(成長戦略実行計画案より抜粋) —―――——————
●多様な選択肢の許容
65歳から70歳までの就業機会確保については、多様な選択肢を法制度上許容し、企業としては、そのうちどのような選択肢を用意するか、労使で話し合う仕組み、また、当該個人にどの選択肢を適用するか、企業が当該個人と相談し、選択ができるような仕組みを検討する。法制度上許容する選択肢のイメージは、次の(a)~(g)が想定しうる。
(a)定年廃止
(b)70歳までの定年延長
(c)継続雇用制度導入
(d)他の企業への再就職の実現
(e)個人とのフリーランス契約への資金提供
(f)個人の起業支援
(g) 個人の社会貢献活動参加への資金提供
●第一段階の法制整備
70歳までの就業機会の確保を円滑に進めるためには、法制についても、二段階に分けて、まず、第一段階の法制の整備を図ることが適切である。
第一段階の法制については、法制度上、上記の(a)~(g)といった選択肢を明示した上で、70歳までの就業機会確保の努力規定とする。
●第二段階の法制整備
第一段階の実態の進捗を踏まえて、第二段階として、現行法のような企業名公表による担保(いわゆる義務化)のための法改正を検討する。この際は、かつての立法例のように、健康状態が良くない、出勤率が低いなどで労使が合意した場合について、適用除外規定を設けることについて検討する。
●年金制度との関係
70歳までの就業機会の確保に伴い、年金支給開始年齢の引上げは行わない。
他方、年金受給開始の時期を自分で選択できる範囲(現在は70歳まで選択可)は拡大する。加えて、在職老齢年金制度について見直しを行う。
このような取組を通じ、就労を阻害するあらゆる壁を撤廃し、働く意欲を削がない仕組みへと転換する。
☆「70歳までの就業機会確保」は、今後の政策の目玉の一つとなっていますが、その方向性は上記のとおりです。
法整備については、まずは、努力規定からのスタートということになりそうですが、その第一段階の法整備に係る法案は、2020年の通常国会に提出することとされています。
動向に注目しましょう。