国民年金、厚生年金といった公的年金の額は、毎年度、物価や賃金、さらには被保険者数や平均余命の状況に応じて改定されることになっています(マクロ経済スライド)。
平成28年度は、各状況に照らし、法定の基準により判断した結果、前年度の額に据え置くこととされました(改定なし)。
しかし、被用者年金一元化法により端数処理が変更になったため、平成28年度の改定から、月額で数円の増減が生じることにます。
◆◆ 平成28年度の年金額の例 ◆◆
<新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の例>
平成27年度
(月額) |
平成28年度
(月額) |
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国民年金(老齢基礎年金(満額):1人分) | 65,008円 | 65,008円 |
厚生年金*1(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額) | 221,507円 | 221,504円*2 |
*1 厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)42.8万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け取り始める場合の給付水準です。
*2 上記表の厚生年金(報酬比例部分)の場合の端数処理
平成27年度の厚生年金(報酬比例部分)の年金額は、100円未満四捨五入のため、1,097,866円(年額)⇒1,097,900円(年額)でした。平成28年度については、1円未満四捨五入のため、1,097,866円(年額)となり、月額で3円変わります。
〔参考〕平成28年度の改定の基準と端数処理の変更
① 公的年金の額は、68歳到達年度前(新規裁定者)の受給権者については物価の変動、68歳到達年度以後(既裁定者)の受給権者については賃金の変動に応じて改定し、上昇する場合には、現役被保険者の減少と平均余命の伸びを勘案して定めた調整率により、その上昇を抑制することが原則となっています。
しかし、賃金の変動がマイナスで物価の変動がプラスとなる場合には、現役世代の保険料負担能力が低くなっていることに着目し、新規裁定者・既裁定者ともに改定なしとする例外的なルールも規定されています。平成28年度においては、このルールに該当し、前年度の額に据え置き(改定なし)とされました。
② 平成27年10月に施行された「被用者年金一元化法」により、一元化前の共済年金制度にあわせて、年金額(年額)の端数処理が、これまでの100円未満四捨五入から、1円未満四捨五入に改められました。これにより、基礎年金が満額でない方の年金額や厚生年金の年金額については、基本的に各年金単位で年額50円以下の増減が生じることになります。
また、各支払期月(毎年偶数月の年6期)の支払額についても、これまで切り捨てていた1円未満の端数を、毎年2月に支払う年金にまとめて加算して支払うこととされました。
☆ 平成28年度の年金額による支払いは、通常、4月分の年金が支払われる6月からです。端数処理の改正の影響で、数円ですが、支払額に違いが生じることになります