【労働法】年次有給休暇の権利発生の要件が一部変更されました

年次有給休暇の権利発生の要件として、「全労働日の8割以上出勤したこと(出勤率が8割以上)」という要件がありますが、この全労働日の取り扱いが、平成25年7月10日の付けの通達で変更されました。

 

基礎となる「全労働日」の取り扱いが一部変更されています

 

基礎知識として、年次有給休暇は「前年の出勤率」の条件を満たした人に与えるということになっています。出勤率の計算式は下記になります。

出勤した日÷全労働日 ≧ 8割

 

上記式の「全労働日」の数え方が今回、若干変更されました。変更後は下記のようになります。

 

1.年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の日数は就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいい、各労働者の職種が異なること等により異なることもあり得る。したがって、所定の休日に労働させた場合には、その日は、全労働日に含まれないものである。

 

2.労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、次の「3」に該当する場合を除き、出勤率の算定に当たっては、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。

例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日が考えられる。

 

3.労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日であっても、次に掲げる日のように、当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でないものは、全労働日に含まれないものとする。

① 不可抗力による休業日

② 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日

③ 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日

 

 

つまり、どう変わったかというと・・・

 

・従来は、「使用者の責めに帰すべき事由による休業の日」は、全労働日に含めないこととされていました。

・しかし、これでは、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日についても、全労働日に含めないこととされます(“全労働日が0になり、年休を与える余地はない”という考えになる)。

・そこで、「労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日」と表現を変え、そのような日は、一定の場合(上記3.①~③)を除き、出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含めるものとされました。

 

この変更は、平成25年6月の最高裁の判例を受けて行われたものです。変更を考慮しなければならない事例はめったに生じないと思いますが、このような変更があったことは、知っておいた方がよいでしょう。

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