● 概 要
・会社は1箇月単位の変形労働時間制を導入していた。
・就業規則に「業務の必要がある場合は、指定した勤務を変更する」という条項があった。
・会社は就業規則に基づき、いったん確定した勤務時間(7日分)を変更して勤務させた。
・これに対し労働者らは、当初特定されていた勤務時間を超える部分について、給与の支払いを求めた。(割増分を含む)
・最高裁は、労働者らの主張を認め、当初特定されていた勤務時間を超過した時間について給与の支払いを命じた。
● 解 説
1箇月単位の変形労働時間制とは、1箇月を平均して週40時間以内に収まっていれば、たとえ1日10時間勤務したとしても割増賃金を支払う必要がないという制度です。
1箇月の中で業務量にばらつきがある場合、労働時間や割増賃金を削減するのに、とても有効な制度です。
但し、この場合1日10時間働くと事前に決めておくこと(特定)が必要で、8時間と決めた日に結果として10時間働かせた場合、1箇月をならして週40時間以内に収まったとしても2時間分の割増賃金を支払わなければなりません。
さて、今回の争点は、『一旦特定した時間を会社が一方的に変更したとしても変形労働時間制の要件を満たすか?』ということでした。
※8時間労働と決めていたが、事前に10時間に変更して10時間働かせる ⇒ 割増賃金が必要か?
判決では、勤務時間の変更は限定的かつ例外的措置として認められるにとどまるものとして、「業務の必要がある場合…」という就業規則は、恣意的な変更につながるため認められず、労働者の主張が認められました。
このような争いが想定される場合は、どのような場合に変更が行われるかを就業規則等に具体的に定め、その場合に限って変更することが必要です。
このようなリスクがないか、一度運用の実態を確認してみることをおすすめします!
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