平成30年通【法改正】常国会は、働き方改革国会(安倍総理が年頭記者会見で命名)

自由民主党と公明党の両党は、平成29年12月中旬、「平成30年度税制改正大綱」を決定しました。主要な項目は次のとおりです。

 

 

―――――――――――― 平成30年度税制改正大綱の概要 ――――――――――――

 

 

<個人所得税関係>

 

●給与所得控除、公的年金等控除を一律10万円引き下げ、基礎控除を10万円引き上げ

〔平成32(2020)年分の所得税から適用〕

 

●給与所得控除の上限を年収850万円超で195万円に引き下げ

〔平成32年分の所得税から適用〕

 

<法人税関係>

●賃上げ・投資を行った企業を対象に法人税減税(所得拡大促進税制を改組し、賃上げ・投資を行った企業を対象に、賃上げ額について税額控除ができる制度とする)

〔平成30年度~32年度の間に行ったものが対象〕

 

<その他>

●国際観光旅客税(出国税)を創設〔平成31年1月~〕

●たばこ税を段階的に引き上げ〔平成30年10月~〕

●中小企業の事業承継税制を抜本拡充〔平成30年4月~〕

 

また、電子化関係では、年末調整の電子化〔平成32年10月~〕、大企業の法人税などの電子申告の義務化〔平成32年度~〕などが盛り込まれています。

 

<焦点だった所得税改革は・・・>

 

・全納税者に適用する基礎控除を現在の38万円から10万円増やし、その一方で、会社員向けの給与所得控除を一律10万円減額し、控除額の上限も220万円から195万円に引き下げる。

 

・その結果、年収850万円を超える会社員は増税となるが、22歳以下の子どもや介護が必要な家族がいる会社員は増税の対象外とする。

といったところで決着しました。

 

☆ 今後、この大綱に沿って、税制の改正法案が作成され、国会での審議を経て、改正が実現していくことになります。

ここで紹介した個人所得税関係の改正は、平成32年分の所得税から実施される予定ですが、その前年の平成31年10月からは消費税の増税(8%→10%)も予定されています。給与所得者などにとっては、厳しい増税が続くことになります。

企業としては、法人税の優遇措置などの趣旨を汲み取って、社員の給与を引き上げる努力をしていく必要がありそうです。

 

平成30年通常国会は、働き方改革国会(安倍総理が年頭記者会見で命名)

 

平成30年1月4日、安倍内閣総理大臣が年頭記者会見を行いました。

その際、「今月召集する通常国会は、働き方改革国会」と述べ、働き方改革の実行に意欲を見せました。

会見の内容を紹介します。

 

―――――――――――― 年頭記者会見などの主要コメント ――――――――――――

 

<安倍内閣総理大臣の年頭記者会見(平成30年1月4日)>

 

●本年、働き方改革に挑戦いたします。正規、非正規、雇用形態にかかわらず、昇給や研修、福利厚生など、不合理な待遇差を是正することで、多様な働き方を自由に選択できるようにします。長時間労働の上限規制を導入し、長時間労働の慣行を断ち切ります。ワーク・ライフ・バランスを確保し、誰もが働きやすい環境を整えてまいります。70年に及ぶ労働基準法の歴史において、正に歴史的な大改革に挑戦する。今月召集する通常国会は、「働き方改革国会」であります。

●子育て、介護など、それぞれの事情に応じた多様な働き方を可能とすることで、一億総活躍の社会を実現してまいります。

☆ なお、加藤厚生労働大臣も、新年の初会見で次のようにコメントしています。

<加藤厚生労働大臣の新年の初会見(平成30年1月5日)>

 

●次の国会は「働き方改革国会」と総理が仰っておられましたけれども、安倍内閣の最重要課題の一つである「働き方改革」につきまして、今月召集される通常国会に法案を提出するとともに、「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金」をはじめとする改革の実現に向けて取り組んでいきたいと思います。また、人づくり革命や生産性革命を着実に実行し、誰もがそれぞれの状況に応じながら生きがいを感じ、能力を発揮できる一億総活躍社会の実現に取り組んでいきたいと思います。

 

☆ また、働き方改革関連法案の施行日を平成31(2019)年4月から1年ほど延期する検討に入ったという報道があった件について質疑があり、次のようにコメントしています。

 

●昨年9月に労働政策審議会の答申を得た法律案要綱においては、労働基準法の改正などの主な施行期日について、平成31年4月1日とされているところであります。現在、労働政策審議会の答申を踏まえつつ、この法案を次の通常国会に提出すべく準備を進めているところでありますので、現時点で法案の具体的な中身について申し上げる段階ではないと思っております。ただ、長時間労働を是正して働く方の健康を守り、ワーク・ライフ・バランスを実現していくためには、働き方改革実行計画を踏まえた時間外労働の上限規制などの改正法案を早期に成立をさせていくことは不可欠だと認識しております。

 

☆ 施行日については、今後の審議次第といったところですね。

平成30年の通常国会で、働き方改革関連法案がスムーズに成立するのか?

いわゆる高度プロフェッショナル制度をめぐって野党の抵抗があるのか?

動向に注目です。

 

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