昨年の夏ごろから、労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会において、雇用保険制度の見直しの方向性が議論されていました。
その方向性がまとまったようで、この度、報告書が公表されました。厚生労働省は、この報告書の内容を踏まえ、平成28年通常国会に雇用保険法の改正法案を提出する模様です。
どのような見直しが図られるのか? 概要を紹介いたします。
労働政策審議会 職業安定分科会雇用保険部会報告の概要
1.雇用保険の適用拡大
① 65歳以降に新たに雇用される者を雇用保険の適用対象とする*
*受給要件や給付内容は現行と同じ(一時金である高年齢求職者給付金を支給することとし、引き続き年金と併給できるようにする)。
② 雇用保険料については、高年齢者の徴収免除を廃止し、原則どおりに徴収する(一定の経過措置を設ける)。
2.就職促進給付の拡充
① 受給資格者が早期に再就職した場合に支給される再就職手当について、給付率の引上げを行う。
再就職手当の給付率
a基本手当の支給残日数が3分の1以上3分の2未満:現行50%→改正案60%
b基本手当の支給残日数が3分の2以上:現行60%→改正案70%
② 広域求職活動費(広域の求職活動を行う場合に交通費等を支給)について、距離要件を緩和する。
加えて、求職活動に伴う費用(就職面接のための子の一時預かり費用等)について新たに給付対象とする。
3.介護休業給付等の見直し
① 介護離職の防止に向け、給付率の引上げを行う。
〔介護休業給付金の給付率:現行40%→改正案67%〕
② 育児介護休業法の改正議論(介護休業の分割取得、有期契約労働者の育児・介護休業 取得、育児休業の対象となる「子」の範囲等)を踏まえ、給付範囲を見直す。
4.失業等給付に係る保険料率の見直し
雇用保険の財政状況等を勘案し、失業等給付に係る雇用保険料率の引下げを行う。
〔失業等給付に係る雇用保険率:現行1.0%→改正案0.8%)。
企業としては、雇用保険料の高年齢者の徴収免除の廃止と、雇用保険料率の引下げの動向が気になりますね。新しい情報が入りましたら、またお伝えいたします。