政府は、本年6月末、臨時閣議で「経済財政運営と改革の基本方針2015(「骨太の方針」)」と「「日本再興戦略」改訂2015」を決定しました。
「骨太の方針」では、「経済再生なくして財政健全化なし」と掲げています。安倍首相も、経済・財政一体改革を不退転の決意で断行していくと述べています。
「日本再興戦略」では、アベノミクスが第二ステージに突入したとして、必要な改訂が行われました。
今後の展望として、労働の分野などについて、気になる部分を紹介いたします。
「日本再興戦略」改訂2015 (「改訂戦略の主要施策例」より抜粋)
<個人の潜在力の徹底的な磨上げ>
●少子化対策、労働の「質の向上」及び女性・高齢者等の一層の活躍促進
・企業における情報開示の徹底による長時間労働の是正
長時間労働の是正に向けて、女性活躍推進法案及び若者雇用促進法案*が成立した際には、事業主行動計画や職場情報提供スキームなどのプラットフォームを活用し、企業の労働時間の状況等の「見える化」を徹底的に進める。
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*現在、国会で審議中の法案。女性活躍推進法案では、300人規模以上の民間企業に対し定量的目標を
備えた「事業主行動計画」の策定・実施を義務付け、優れた取組を行う一般事業主の認定制度を創設
すること等を規定。
若者雇用促進法案では、新卒募集の際の職場情報提供を努力義務とし、応募者の求めに対して労働時
間や能力開発などの情報提供を義務化すること等を規定しています。
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・高齢者の活躍促進(就労マッチング機能の強化)
働く意欲のある高齢者が年齢にかかわりなくその能力や経験を活かして生涯現役で活躍し続けられる社会環境を整備するため、高齢者の多様な雇用・就業機会や就労マッチング機能の飛躍的向上・強化を図る。
・外国人材の活用
インド・ベトナム等の優秀なIT人材の受入促進のため、現地トップレベルのIT系大学に対し、日本企業への就労に関する情報発信を強化する。また、海外IT系大学の卒業生に対する留学・ 就労支援等を行うため、海外IT系大学の指定に関する政府間議を進める。
【本年中めどに実施】
<新時代への挑戦を加速する>
●セキュリティを確保した上でのIT利活用の徹底
・マイナンバーの利活用範囲の拡大
国・地方全体を俯瞰(ふかん)した監視・検知体制の整備等により、マイナンバー制度のセキュリティ確保を徹底する。
その上で、マイナンバーの利活用範囲を、税、社会保障から、戸籍、パスポート、在外邦人の情報管理、証券分野等における公共性の高い業務へ拡大する。
【できるだけ早い機会に法制上の措置等を講ずる】
☆ 特に気になるのは、「長時間労働の是正」と「マイナンバーの利活用範囲の拡大」でしょうか。長時間労働の
是正は、労働者の健康障害の防止といった側面のほか、労働の「質」を高めるという目的もあって、ここ数
年、政府の重要政策となっています。長時間労働に対する取締りも厳しくなっていますので、注意したいとこ
ろです。
また、マイナンバー制度については、今後の利活用範囲の拡大につなげるためにも、セキュリティ確保を徹底
するとのことですので、情報漏えいなどに対する取締りが厳しくなることが予想されます。