● 概 要
・住宅設備機器の修理補修を業とする会社とその業務に個人事業主として業務委託契約により従事する者(X)らがいた。
・Xらは、会社に対して労働条件改善の要求をするため労働組合法による団体交渉を申し入れた。
・会社は、Xらは独立した個人事業主であり労働者でないとして、団体交渉を拒否した。
・これに対しXらは労働委員会へ救済申し立てを行い、労働委員会は応ずるべきと命令を発した。
・会社は、この決定を不服とし高等裁判所まで争い、会社の主張が認められた。
・Xらは不服とし最高裁に上告し、その主張が認められ会社が敗訴した。
● 解 説
会社を発展させるために人材は不可欠ですが、一方で人を雇うと労働災害、未払い残業代、社会保険料の高騰など様々なリスクを負うことになります。
このリスクを回避するために従業員としてではなく、個人事業主として業務委託契約を結ぶ対策を取っている会社が多々あります。
今回の判決は、このような対策に対して、一定の制限がかかるようなものであり、今後も様々な場面で、この判例が踏襲されるものと考えられます。
主に以下のポイントがあげられ労働者と判断されました。
① 会社の指揮命令下で労務提供を行っており、休日等も指定されていたこと
② 事業を遂行するための不可欠な労働力として組織に組み入れられていること
③ 契約内容を会社が一方的に決定し、変更する余地がなかったこと
④ 時間外手当等に相当する金額の加算など報酬が労務の対価としての性質を有すること
⑤ 常に会社からの依頼に応じるべき関係であったこと
⑥ 自ら事業主として営業活動をして他社の仕事を請け負う例がほとんどないこと
業務委託契約書をかわしているから大丈夫という認識の下で全く備えがない場合は、逆にリスクが高まります。
同じような形態を取っている場合は、上記の基準に照らして問題がないかチェックしておくことをおすすめします。
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