第183回の通常国会において、「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。「1」は厚生年金基金に入っている企業にとっては大事な改正です。「2」は企業に勤めている人には直接は関係ない話ですが、人事担当者として知っておいて損はない情報ですので、ご一読頂けたらと思います。
厚生年金基金制度の見直し・第3号被保険者記録不整合問題への対応の概要
1.厚生年金基金制度の見直し(厚生年金保険法等の一部改正)
① 施行日以後は厚生年金基金の新設は認めない。
② 施行日から5年間の時限措置として特例解散制度を見直し、厚生年金基金の解散時に国に納付する最低責任準備金の納付期限・納付方法の特例を設ける。
③ 施行日から5年後以降は、代行資産保全の観点から設定した基準を満たさない厚生年金基金については、厚生労働大臣が社会保障審議会の意見を聴いて、解散命令を発動できるようにする。
④ 上乗せ給付の受給権保全を支援するため、厚生年金基金から他の企業年金等への積立金の移行について特例を設ける。
施行日……公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
※つまり、まだ具体的に、いつから施行されるかは未定です。
2.第3号被保険者の記録不整合問題への対応(国民年金法の一部改正)
サラリーマン(第2号被保険者)の被扶養配偶者である第3号被保険者(専業主婦等)が、第2号被保険者の離職などにより、実態としては第1号被保険者となったにもかかわらず、必要な届出を行わなかったために、年金記録上は第3号被保険者のままとなっていて不整合が生じている(つまり、年金額が多く計算されてしまっている)問題について、政府は下記のことを決めました。
最終的には、年金受給者の生活の安定にも一定の配慮を行った上で、不整合記録に基づく年金額を正しい年金額に訂正する(つまり、正しい額まで、年金額を減らす)ということです。
① 不整合の期間を有する者の届出により、その不整合の期間を「合算対象期間」(年金額には反映されないが受給資格期間には算入される期間)として取扱うこととする規定を設け、無年金となることを防止する。
② 過去10年間の不整合の期間の特例追納を可能とし、年金額を回復する機会を提供する(平成27年4月から3年間の時限措置)
施行日……平成25年7月1日(ただし、②の規定は、平成27年3月31日までは適用されない)
※第3号被保険者の記録不整合問題については、特例追納の制度は平成27年4月から3年間の措置となっていますが、不整合の期間を合算対象期間とするための届出の制度は本年7月1日から施行されています。
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