令和2年9月1日「副業・兼業の促進に関するガイドライン」改定

 

厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定していますが、令和2年9月1日に、このガイドラインが改定されました。

 

今回は、健康管理等を紹介します。

 

 

 

―「副業・兼業の促進に関するガイドライン(令和2年9月改定)」/健康管理等の概要 ―

 

 

 

<健康管理>

 
・使用者は、労働安全衛生法に基づき、健康診断、長時間労働者に対する面接指導、ストレスチェックやこれらの結果に基づく事後措置等を実施しなければならない。

 
・使用者の指示により副業・兼業を開始した場合は、原則として他社との情報交換により、難しい場合には労働者からの申告により他社の労働時間を把握し、自社の労働時間と通算した労働時間に基づき、健康確保措置を実施することが適当である。

 
・使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えること、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じ法律を超える健康確保措置を実施することなど、労使の話し合い等を通じ、副業・兼業を行う者の健康確保に資する措置を実施することが適当である。

 
<労働者の対応>

 
・労働者は、自社の副業・兼業に関するルールを確認し、そのルールに照らして、業務内容や就業時間等が適切な副業・兼業を選択する必要がある。

 
・労働者は、副業・兼業による過労によって健康を害したり、業務に支障を来したりすることがないよう、自ら業務量や進捗状況、時間や健康状態を管理する必要がある。

 
・他社の業務量、自らの健康の状況等について報告することは、企業による健康確保措置を実効あるものとする観点から有効である。

 

 

 

 

 

☆ 政府は、コロナ禍での新しい働き方の実現に向けて、「兼業・副業」を引き続き重要視しています。これまで紹介してきた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」についても、周知等を図るとしています。

 

また、成長戦略会議実行計画(令和2年12月1日)で「労働時間の自己申告制を設け、申告漏れや虚偽申告の場合には、兼業先での超過労働によって上限時間を超過したとしても、本業の企業は責任を問われないことなどが明確化されている」と説明しています。

 

健康管理についても自己申告・自己管理ができる労働者でないと副業・兼業には向かないといえます。企業としては、自己管理ができない労働者には、副業・兼業を認めない、いったん承認しても取り消すことができるように運用していくことが重要なポイントです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

情報通信機器を用いた医師による面接指導の実施について通達を発出(厚労省)

 

 

 

厚生労働省から、「情報通信機器を用いた医師による面接指導の実施について」という通達(令和2年11月19日付け基発1119第2号)が公表されました。

 

 

労働安全衛生法に基づく面接指導は、医師が労働者と面接し、労働者とのやりとりやその様子(表情、しぐさ、話し方、声色等)から労働者の疲労の状況やストレスの状況その他の心身の状況を把握するとともに、把握した情報を元に必要な指導や就業上の措置に関する判断を行うものです。

 

情報通信機器を用いた面接指導(リモートでの面接指導)を行うことも可能ですが、その際の留意事項をまとめたのがこの通達です。

 

 

 

 

――  情報通信機器を用いた医師による面接指導の実施に係る留意事項のポイント  ――

 

 

 

⑴ 事業者は、面接指導を実施する医師に対し、面接指導を受ける労働者が業務に従事している事業場に関する事業概要、業務の内容及び作業環境等に関する情報並びに対象労働者に関する業務の内容、労働時間等の勤務の状況及び作業環境等に関する情報を提供しなければならないこと。

 

 

⑵ 面接指導に用いる情報通信機器が、以下の全ての要件を満たすこと。

 

① 面接指導を行う医師と労働者とが相互に表情、顔色、声、しぐさ等を確認できるものであって、映像と音声の送受信が常時安定しかつ円滑であること。

 

② 情報セキュリティ(外部への情報漏洩の防止や外部からの不正アクセスの防止)が確保されること。

 

③ 労働者が面接指導を受ける際の情報通信機器の操作が、複雑、難解なものでなく、容易に利用できること。

 

 

⑶ 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法等について、以下のいずれの要件も満たすこと。

 

① 情報通信機器を用いた面接指導の実施方法について、衛生委員会等で調査審議を行った上で、事前に労働者に周知していること。

 

② 情報通信機器を用いて実施する場合は、面接指導の内容が第三者に知られることがないような環境を整備するなど、労働者のプライバシーに配慮していること。

 

 

⑷ 情報通信機器を用いた面接指導において、医師が緊急に対応すべき徴候等を把握した場合に、労働者が面接指導を受けている事業場その他の場所の近隣の医師等と連携して対応する等の緊急時対応体制が整備されていること。

 

 

 

 

 

☆ 成長戦略会議実行計画(令和2年12月1日)でポストコロナ時代における「新たな日常」の早期実現に向けて「テレワーク時の健康確保について、テレワークガイドラインで、リモートでの面接指導を企業が柔軟に選択することができる旨を明確化する」としています。

 

テレワークの定着に向けて、リモートでの面接指導も重要視されています。

 

 

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