【判例】生コン製販会社事件(会社分割の不法行為)

● 内 容

生コン製販会社事件(会社分割の不法行為)  大阪高裁 平成27年12月11日

 

● 概 要

・会社は、生コンクリートの製造部門と運輸部門から成り、従業員らは運輸部門で主にミキサー車の運転手として従事していた。

・従業員らは、個人加盟によって組織される労働組合に加入していた。

・その後、従業員らが行った不正行為から品質管理監査合格証の停止処分を受ける事案があり、会社の業績が悪化した。

・会社は、対策として全従業員を解雇し、日雇いとして当面雇用し、その後復帰させる計画を提示したが労働組合の合意は得られなかった。

・その後、労働組合は労働委員会への救済申し立てをするなど対立は深刻化した。

・会社は製造部門と従業員らが属する運輸部門を別会社にして、後日運輸部門の会社を廃止した。

・従業員らは、この行為は組合壊滅を目的とする不法行為であるとして訴えた。

・裁判所は会社に慰謝料と損害賠償の支払いを命じた。

 

● 解 説

労働組合との対立がいよいよ激しくなったときに、会社側の秘策として取られる手段が事業の廃止です。

一般的に労働組合員がいる部門を別会社として独立させ、その後廃業してしまう手法です。

 

理屈上は、なるほどと思うのですが現実はそれほど簡単でなく、組合員を排除することが目的だと裁判所に判断されると、損害賠償の支払いや残った方の会社での雇用を命じられてしまいます。

この判例でも、偽装解散であるとして会社、代表取締役、さらに手続きを行った司法書士に賠償命令が下っています。

労使関係ではテクニカルなことをやって表面的には上手くいても、実際にこじれると逆効果になることが結構ありますから、どんな手法を取るかは最悪の事態も想定して判断する必要がありますね。

 

判例を読むと社長の自宅前にパイプ椅子を並べて監視したり、社長の車を街宣車で40分も追尾したりする等をして、この件について逆に組合側が慰謝料の支払いを命じられている事実でもあり、双方かなり激しく争っていたようです。

想像ですが経営者の代替わりや従業員の入れ替わりを経て、労使関係に少しずつヒビが入っていったのだと思います。

ついつい面倒になりますが、事業の継続的な発展には労使間の定期的なコミュニケーションは大事ですね。

 

 

 

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