【判例】河口湖チーズケーキガーデン事件(就業規則の周知)

● 内 容

河口湖チーズケーキガーデン事件(就業規則の周知) 甲府地裁 平成29年3月14日

 

● 概 要

・会社は菓子販売店を2店舗運営しており、従業員は両方の店舗の店長を兼任していた。

・従業員が管理する店舗の小口現金に使途不明なものがあったため、会社がファックスで問合せを行った。

・その後、従業員は適応障害とする診断書を提出し約10カ月欠勤を続けた。

・会社は、小口現金の着服やタイムカードの不正打刻、診断書の提出がなされなくなった以降の欠勤を無断欠勤として、就業規則に基づき懲戒解雇とした。

・従業員は、就業規則が周知されていないためを懲戒解雇は無効と主張し、また会社のせいで適応障害になったとして慰謝料を求めて裁判を起こした。

・地裁は、慰謝料は認めなかったが解雇については無効と判断した。

 

● 解 説

権利を不正に行使する いわゆるブラック社員をみると怒りが込み上げてきますが、この判例のまさにそのような内容ですね。

従業員による小口現金の着服自体が事実であれば、懲戒解雇は妥当というのが一般の感覚だと思いますが、労働法の世界ではそうはいきません。

 

まず、懲戒処分を行うためには就業規則にどのような行為が懲戒処分に該当し、どんなペナルティーがあるかについて“あらかじめ”定めておくことが必要です。

要は、後出しジャンケンはダメということです。

もう一つ重要なことが、その就業規則を“周知”しているということです。

よく労働基準監督署に届出をすればOKと勘違いされますが、それだけではダメで“従業員が就業規則の内容を知ろうと思った時にいつでも知れる状態”にしておくことが必要です。

 

会社は休憩室の棚に保管していたと主張しましたがその事実を証明できず、更に労働契約書に「具体的に適用される就業規則名」という余計な項目があり、これが空欄になっていたことが、会社の周知に対する認識の低さの証明になってしまいました。

 

就業規則の見直しのご相談を受けた際に、社長が自分の引き出しからゴソゴソとファイルを出してくるケースが多いですが、この場合就業規則にどれだけこだわっても存在すら認めてもらえない就業規則になってしまいます。

 

よって、従業員に周知するのを躊躇する内容の就業規則を作っても意味がないということです。一歩踏み込んで、従業員と一緒に就業規則を作ることを考えてみてはいかがでしょうか。

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