【判例】山梨県民信用組合事件(労働条件の不利益変更)

● 内 容

山梨県民信用組合事件(労働条件の不利益変更)   最高裁 平成28年2月19日

 

● 概 要

・従業員らは、信用組合の職員として働いていた。

・信用組合が経営不振に陥り、他の信用組合と合併することになった。

・合併にともない、退職金規程が従来よりも支給水準がさがるものへ変更されたが、従業員らは同意書に署名、押印した。

・合併から数年後、従業員らが退職する際に計算された退職金は0円であった。

・従業員らは、合併前の基準に基づく退職金の支払いを求めて提訴した。

・一審、二審ともに同意書に署名、押印があるとして従業員らの請求を退けたが、最高裁では、同意に至る経緯について確認が不足していると差し戻した。(従業員の主張が認められる予定)

 

● 解 説

労働条件を良い方に変えるのは簡単ですが、悪い方向に変更するのは神経が擦り減りますね。

労働条件は、労使間の契約によって決まっているものですので、当然ながら一方的に変更することはできず、会社と従業員の同意が必要になります。

 

ちなみに、忌引き休暇などの福利厚生についても労働条件の一部になるので、今まで手厚かったからという理由で、勝手に変更することはできず同意が求められます。

さて、その同意について、今回の判決文に次のような内容がありました。

 

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就業規則に定められた賃金や退職金に関する労働条件の変更に対する労働者の同意の有無については,当該変更を受け入れる旨の労働者の行為の有無だけでなく,変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度,労働者により当該行為がされるに至った経緯及びその態様,当該行為に先立つ労働者への情報提供又は説明の内容等に照らして,当該行為が労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するか否かという観点からも,判断されるべきもの

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同意については、その証として同意書を交わすというのが一般常識ですが、労使関係においては、会社は従業員よりも情報や知識が豊富で、かつ給与を払うという強い立場にあるので同意書に署名、押印を取ることを目指すのではなく、労働者に対して腹から納得させることをゴールにしなさいと言っているのだと思います。

 

そうなると争いが裁判まで発展している時点で、会社の負けが確定しているような気がしますね。

ひな形を利用して規定を作る際は、身の丈に合った内容かしっかり確認しましょう。

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