● 判 例
ニヤクコーポレーション事件(均等待遇) 大分地裁 平成25年12月10日
● 概 要
・会社は、貨物運送業等を行い、正社員や契約社員など異なる雇用形態で運転手を雇っていた。
・従業員は契約社員として運転手の仕事を行い、契約は反復更新されていた。
・8年経過した時点で会社は、従業員との契約を打ち切った。
・従業員は、以下の内容で提起した。
①契約打ち切りが無効であること
②正社員と比較すると不当に劣る処遇であったため差額を支払うこと
・裁判所は、従業員側の主張を認めた。
● 解 説
例えば1年間の労働契約を反復更新した場合の契約打ち切り(雇止め)は、法改正もあり、極めて難しくなりました。
よって今回は、概要の①に関する提起については省き、同一労働同一賃金などと言われる現状を踏まえて②を見て行きます。
パートタイム労働法では、以下の要件を満たすパートタイマーは正社員と賃金、教育訓練、福利厚生等のあらゆる処遇について差別的取扱いが禁止されています。
(1)職務の内容が正社員と同一
(2)人材活用の仕組み(配置転換や昇進の有無等)が正社員と同一
今回の判例では、(1)について「正社員と契約社員はやっている仕事は同じ」と会社も認めており、争点は(2)に絞られました。
会社の主張としては、就業規則の中で正社員には配転・出向を義務付け、契約社員には義務付けていないことで、人材活用の仕組みは同一でないと主張しましたが、裁判所は実際に正社員に対して配転・出向を命令した例は少なく、大きな差があるとは言えないことから同一であるという判断になりました。
「就業規則さえ整備しておけば大丈夫」と思いがちですが、話がこじれ裁判まで行くと“実態”を見られることになります。
正社員と契約社員(パートタイマー)は、何が違うかを明確に説明できないと、訴訟に至らなくても従業員とのトラブルに発展しかねません。
色々な呼称の雇用体系があると思いますが、一度整理してみることをお勧めします。
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