大手コンビニ加盟店で、労働基準法違反の報道が相次ぐ

今年に入って数カ月、その間に、大手のコンビニエンスストアの加盟店における労働基準法違反が2件発覚し、報道各社によって大々的に取り上げられました。いずれも、基本的な規定に違反した事案であり、法令の無知が引き起こしたものだと思われます。確認してみましょう。

 

◆◆ 大手コンビニ加盟店における労働基準法違反 ◆◆

 

① 労働基準法第91条(制裁規定の制限)違反
本年1月末ごろ、「大手コンビニエンスストアの加盟店において、風邪でアルバイトを欠勤した高校生に対し、労働基準法で認められた限度を超える減給が行われていた」という報道がありました。
この会社の広報などによると、アルバイトの高校生が10時間欠勤したところ、欠勤分を減額した給料から、さらに10時間分が差し引かれていたということです。
給与明細には、「ペナルティー10時間分9,350円」と手書きされた紙が貼られていたということですが、このようなペナルティーは、労働基準法の次の規定に違反します。

<労働基準法第91条(制裁規定の制限)>
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

※ 上記の事案、高校生のその月分のバイト代の総額は23,000円ほどだったようで、減給の上限は2,300円程度(バイト代総額の10分の1)です。その額を大きく超えて減給していたわけですから明らかに労働基準法違反です。

 

② 労働基準法第16条(賠償予定の禁止)違反
本年2月には、「急な欠勤に罰金を科す違法な契約をアルバイト店員に結ばせた容疑で、大手コンビニエ
ンスストア加盟店の経営者が書類送検された」という報道がありました。
警察の調べによると、加盟店は、アルバイト店員の男女5人に、「急に欠勤した場合は1回1万円の罰金
を徴収する」という内容の書類に署名させていたとのことです。
このような契約は、労働基準法の次の規定に違反します。

<労働基準法第16条(賠償予定の禁止)>
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

〈補足〉この規定について、「現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止するものではない(昭和22年発基17号)」という通達が発出されています。簡単にいうと、“あらかじめ罰金などを決めておくことはダメ”ということです。上記の書類送検の事案は、この規定違反の典型といえます。

 

☆ 経営者であれば、労働基準法による基本的な労働のルールを知っておくことが不可欠です。そして、大きな組織であれば、組織全体でそれを順守する必要がありますね。たとえ末端の加盟店が起こした不祥事でも、組織全体に悪影響を及ぼすことになります。

 

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