政府は、本年6月に、いわゆる「骨太の方針2016」、「日本再興戦略2016」、「ニッポン一億総活躍プラン」等を閣議決定しました。経済財政運営やその改革が内容の核といえますが、働き方の改革のことなども、横断的な課題として取り上げています。働き方について、どのような改革を図ろうとしているのか、以下で簡単に紹介します。
一億総活躍社会の実現に向けた働き方改革の方向:「ニッポン一億総活躍プラン」より
「多様な働き方が可能となるよう、社会の発想や制度を大きく転換しなければならない」とし、次のような改革の方向性を示しています。
●同一労働同一賃金の実現など非正規雇用の待遇改善
・再チャレンジ可能な社会をつくるためにも、正規か、非正規かといった雇用の形態にかかわらない均等・均衡待遇を確保する。そして、同一労働同一賃金の実現に踏み込む。
・その実現に向けて、我が国の雇用慣行には十分に留意しつつ、躊躇なく法改正の準備を進める。
・正規労働者と非正規雇用労働者の賃金差について、欧州諸国に遜色のない水準を目指す。
※現状➡パートタイム労働者の賃金水準は、欧州諸国においては正規労働者に比べ2割低い状況であるが、日本では4割低くなっている。
・最低賃金については、年率3%程度を目途として引き上げていき、全国加重平均が1,000円となることを目指す。最低賃金の引上げに向けて、中小企業、小規模事業者の生産性向上等のための支援や取引条件の改善を図る。
●長時間労働の是正
・長時間労働の是正は、労働の質を高めることにより、多様なライフスタイルを可能にし、ひいては生産性の向上につながる。今こそ、その是正に向け、法規制の執行を強化する。
・労働基準法については、労使で合意すれば上限なく時間外労働が認められる“36(サブロク)協定”における時間外労働規制の在り方について、再検討を開始し、時間外労働時間について、欧州諸国に遜色のない水準を目指す。
※現状➡週49時間以上働いている労働者の割合は、欧州諸国では1割であるが、日本では2割となっている。
・あわせて、テレワークを推進するとともに、若者の長時間労働の是正を目指し、女性活躍推進法、次世代育成支援対策推進法等の見直しを進める。
●高齢者の就労促進
・生涯現役社会を実現するため、雇用継続の延長や定年引上げに向けた環境を整えるとともに、働きたいと願う高齢者の希望を叶えるための就職支援を充実する必要がある。
※現状➡高齢者の7割近くが、65歳を超えても働きたいと願っているのに対して、実際に働いている人は2割にとどまっている。
・企業の自発的な動きが広がるよう、65歳以降の継続雇用延長や65歳までの定年延長を行う企業等に対する支援を実施し、企業への働きかけを行う。