【労働情報】労働基準監督署による調査結果

昨年暮れに、厚生労働省から、「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成25年度)」が公表されました。今回公表されたのは、全国の労働基準監督署が、平成25年4月から平成26年3月までの間に、労働者からの申告や各種情報に基づき監督等を行い、その是正を指導した結果、不払になっていた割増賃金が支払われたもののうち、その支払額が1企業で合計100万円以上となった事案の状況を取りまとめたものです。

 

監督指導による賃金不払残業の是正結果のポイント

 

●結果の概要

・是正企業数 1,417企業。前年度比140企業の増加

・支払われた割増賃金合計額 123億4,198万円。前年度比18億8,505万円の増加

・対象労働者数 11万4,880人。前年度比12,501人の増加

・支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり871万円、労働者1人当たり11万円

・1企業での最高支払額は「4億5,861万円」(その他の事業)、次いで「4億5,056万円」(小売業)、「3億6,671万円」(飲食店)の順。

 

●今回調査による違反・指導・解決策の事例

賃金不払い残業の状況

会社は、出退勤時刻をICカードで把握するとともに、労働者本人が勤怠システムにより残業申請を行うことにより労働時間管理を行っていたものの、これらの記録に数時間の相違が認められた。そこで、防犯カメラの記録、パソコンのログオフ記録などを確認したところ、時間外労働として取り扱われていない労働時間や雰囲気・慣習などから、残業申請を過少に行っていた労働者が認められた。

 

監督署の指導内容

監督署は、確認した賃金不払残業について是正勧告するとともに、事業主に対し、

①賃金不払残業について実態調査を実施し、その存在があった場合には法令に基づく割増賃金を支払うこと

②職場風土の改善など、賃金不払残業解消のために必要な対策を行うこと

などについて指導した。

 

企業が実施した解消策

会社は、時間外労働の状況について労働者にアンケートを実施するなどして調査を行い、不払となっていた割増賃金(約480人に対する合計約268,000時間分)を支払った。また、

①経営幹部から、管理職を含めた全労働者に対して、労働時間管理の考え方や正確な申請を行うことなどについて周知徹底を図る

②出退勤時刻と残業申請の時間に相違があった場合に、管理職や人事部門で時間外労働の有無を確認する

③管理部門が4か月ごとに事務所内を巡回し労働時間管理の実態調査を行う

などの改善策を講じた。

 

上記の事例でも分かるように、監督署が調査に入ると徹底的に追及されるという感じですね。その他、“時間外労働時間に上限が設けられ、その上限を超えた時間外労働に対する割増賃金が支払われていなかった”といった事例などもあり、労働基準法等のルールを知らずに違反しているケースもあると思われます。

監督署の指導を受けて、36協定や就業規則等の見直しを迫られたり、未払いの残業代をまとめて支払うことを命令されたりといった事態になっては手遅れです。不安があれば、気軽にご相談ください。

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