本年5月、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。今回の介護保険法等の改正は、「高齢者の自立支援と要介護状態の重度化防止、地域共生社会の実現を図るとともに、制度の持続可能性を確保することに配慮し、サービスを必要とする方に必要なサービスが提供されるようにする」という目的の元に行われました(施行日は、段階的に設定)。ここでは、費用の負担の面にスポットを当てて、主要な改正箇所を紹介します。
改正介護保険法等/利用者負担と保険料負担の改正
① 利用者負担の引き上げ
利用者の負担割合について、現在2割の方のうち、特に所得の高い層の負担割合が「3割」に引き上げられることになりました〔ただし、月額44,400円の負担の上限あり〕。(平成30年8月~)。 3割負担の対象となる方の所得の基準は、今後政令で定められることになりますが、単身であれば年金などの所得が年340万円以上ある利用者など、約12万人を対象とする方向で検討されています。
① 現役世代の保険料負担の見直し
今回の改正により、介護納付金への総報酬割の導入も決定しました。40~64歳の現役世代が、医療保険の保険料と合わせて負担する介護保険料は、今年8月から平成32年4月にかけて、段階的に、収入が多い方の負担が増える仕組みに変更されます。 大企業の会社員(健康保険組合の加入者)や公務員ら約1,300万人については負担が増え、中小企業の会社員らは負担が減ると見込まれています。 <介護納付金における総報酬割の導入の図(厚生労働省資料)>