平成29年度税制改正で、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しが行われ、平成30年分以後の所得税から適用されることになっています。
※今回から数回に分けて、ポイントを紹介します。
配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しの全体像
1 配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額の改正
① 配偶者控除の控除額が改正されるほか、給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととされます(改正前:給与所得者の合計所得金額の制限なし)。
② 配偶者特別控除の控除額が改正されるほか、対象となる配偶者の合計所得金額の要件が38万円超123万円以下とされます(改正前:38万円超76万円未満)。
2 扶養親族等の数の算定方法の変更
扶養親族等の数の算定に当たり、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされます。
また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされます。
注.「源泉控除対象配偶者」とは、居住者(合計所得金額が900万円以下であるものに限る)の配偶者でその居住者と生計を一にするもののうち、合計所得金額が85万円以下である者をいいます。また、「同一生計配偶者」とは、居住者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が38 万円以下である者をいいます。
3 給与所得者の扶養控除等申告書等の様式変更等
「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められることから、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年の年末調整の時までに給与等の支払者に当該申告書を提出しなければならないこととされます。
なお、「給与所得者の配偶者特別控除申告書」と兼用様式となっている「給与所得者の保険料控除申告書」は、上記の改正に伴い、「給与所得者の配偶者控除等申告書」とは、分離されることになっています。
また、次の申告書についても記載事項の見直しが行われます。
・「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」
・「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」
・「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」
※各種様式の確定版の国税庁ホームページへの掲載は、例年通り9月末頃を予定しているようですが、その前に、各種様式の未定稿版(年末調整時に必要となる様式を除きます。)を7月末頃に同ページに掲載する予定とのことです。
☆ この改正が、最初に企業実務に影響するのは、一般的に、平成30年1月に社員に支払う給与から所得税を源泉徴収する際ということになります(上記2の扶養親族等の数の数え方の変更の影響があります)。