労働政策審議会(厚生労働省の諮問機関)は、令和5年12月下旬に、
仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について、厚生労働大臣に対して建議を行いました。
厚生労働省では、この建議の内容を踏まえて法改正の準備を進めることとしており、
今後の方向性を示す重要な建議といえます。
報道でも話題になりましたが、特に注目を集めていたものを抜粋して紹介します。
――― 建議から抜粋/子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応など ―――
子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
⑴ 子が3歳になるまでの両立支援の拡充 ○テレワークを活用促進するため、事業主の努力義務とする。 ○短時間勤務制度について、1日6時間を必置とした上で、 他の勤務時間も併せて設定することを促進するとともに、 短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置にテレワークを追加する。
⑵ 子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充 ○各職場の事情に応じて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢*から 労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設け、 労働者はその中から1つ選べることとする。 *始業時刻等の変更、テレワーク等、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、新たな休暇の付与 ○労働者は権利として子が小学校就学前まで所定外労働の制限(残業免除)を請求できることとする。
⑶ 子の看護休暇制度の見直し ○感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式及び入学式を対象)にも利用できるようにし、 請求できる期間は、小学校3年生修了時までとする。 |
仕事と育児の両立支援制度の活用促進
○男性の育児休業取得率の公表義務の対象を、 常時雇用労働者数1,000人超の事業主から300人超の事業主に拡大する。 |
介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等○事業主に以下の措置を講ずることを義務付ける。
・介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認 ・介護に直面するよりも早期(40歳等)の情報提供 ・研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備 ○介護期の働き方について、テレワークを事業主の努力義務とする。 |
☆ 今後の動向に注目です。新たな動きがありましたら、改めてお伝えします。
雇用保険部会報告 雇用保険制度全般について見直しの方向を示す
労働政策審議会(厚生労働省の諮問機関)の雇用保険部会では、
雇用保険制度の見直しについて議論を進めてきましたが、その方向について結論を得たということで、
令和6年1月上旬に、「雇用保険部会報告」を提示しました。
主に、次のような項目について、見直しの方向が示されています。
―――――――――――雇用保険部会報告の主な項目――――――――――
□ 週所定労働時間20時間未満の労働者に対する『雇用保険の適用拡大』□ 正当な理由のない自己都合離職者への基本手当の給付制限期間の見直し
□ 教育訓練給付の拡充 □ 教育訓練中の生活を支えるための給付や融資制度の創設 □ 出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するための育児休業給付の給付率の引上げ □ こどもが2歳未満の期間に、時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、 時短勤務の活用を促すための給付の創設 □ 育児休業給付を支える財政基盤の強化 報道などで最も注目を集めたのは、『雇用保険の適用拡大』です。詳細をみておきましょう。
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☆ 今後の動向に注目です。新たな動きがありましたら、改めてお伝えします。