精神障害の労災認定基準を改正

 

 

 

「心理的負荷による精神障害の認定基準」について、

近年の社会情勢の変化等や最新の医学的知見を踏まえ、改正することが検討されていましたが、

その改正が、正式に決定されました(令和5年9月1日付けで改正、同日から適用)。

そのポイントを確認しておきましょう。

 

―「心理的負荷による精神障害の認定基準」の改正のポイント(令和5年9月1日~)―

□ 業務による心理的負荷(ストレス)評価表が見直されました

 

・具体的出来事として、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)を追加

・具体的出来事として、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加

・心理的負荷の強度が、「強」、「中」、「弱」となる具体例を拡充(パワーハラスメントの6類型すべての具体例の明記など)

 

□ 精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲が見直されました

 

・悪化前おおむね6か月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める

 

□ 速やかに労災決定ができるよう必要な医学意見の収集方法が見直されました

 

・専門医3名の合議により決定していた事案について、特に困難なものを除き1名の意見で決定できるよう変更

 

 

 

☆ 厚生労働省では、業務により精神障害を発病された方に対して、改正後の基準に基づき、

一層迅速・適正な労災補償を行っていくこととしています。

ハラスメントへの対応が強化されていますので、その防止がより重要になってくるといえます。

 

 

 

令和6年度の厚労省予算の概算要求 重点事項に「労働市場改革の推進」など

 

 

 

毎年8月31日は、各府省庁が財務省に対して来年度の予算の概算要求を行う期限となっています。

令和6年度(2024年度)の予算について、厚生労働省からはどのような概算要求が行われたのでしょうか。

ポイントを紹介します。

 

――――――――令和6年度(2024年度)厚生労働省予算の概算要求 ――――――――

●一般会計総額は「33兆7,275億円」となっています(過去最大)。

●今回の概算要求では、次の3点を柱とし、重点的な要求を行うこととされています。

・今後の人口動態・経済社会の変化を見据えた保健・医療・介護の構築

・構造的人手不足に対応した労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進

・包摂社会の実現

●このうち、企業実務に特に関連があるのは、『労働市場改革の推進と多様な人材の活躍促進』といえます。

主な項目には、次のようなものがあります(抜粋)。 ※〔  〕は令和5年度当初予算額

 

○最低賃金・賃金の引上げに向けた中小・小規模企業等支援、非正規雇用労働者の正規化促進、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保➔677億円〔625億円〕

○リ・スキリングによる能力向上支援➔1,468億円〔1,379億円〕

○個々の企業の実態に応じた職務給の導入➔0.6億円〔 ― 〕

○成長分野等への労働移動の円滑化、人材確保の支援➔619億円〔614億円〕

○フリーランスの就業環境の整備➔6.2億円〔3.8億円〕

○「多様な正社員」制度の普及促進、ワーク・ライフ・バランスの促進➔147億円〔141億円〕

○ハラスメント防止対策、働く方の相談支援の充実、働く環境改善等支援➔144億円〔122億円〕

○仕事と育児・介護の両立支援➔200億円〔162億円〕

○多様な人材の就労・社会参加の促進➔955億円〔945億円〕

○就職氷河期世代、多様な課題を抱える若年者・新規学卒者の支援➔801億円〔738億円〕

○女性の活躍促進に向けた施策➔2,181億円(これは、全体の施策のうち、女性活躍促進に関連する事業をとりまとめたもの)

 

 

 

☆ やはり、最近話題の政策には、多くの予算が要求されていますね。

要求どおりに予算が成立するのか? 具体的にはどのような施策となるのか?

その動向をチェックしておきます。

 

 

 

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