令和3年度の税制改正 令和4年から退職所得課税の見直しも

「所得税法等の一部を改正する法律」が成立

 

 

 

令和3年3月下旬、令和3年度税制改正大綱の内容を盛り込んだ「所得税法等の一部を改正する法律」が成立しました。

 

この改正により、退職所得課税の見直し(適正化)が図られることになり、令和4年分以降の所得税について適用されることになりました。

 

そのポイントを確認しておきましょう。

 

 

 

 

―――――――――― 退職所得課税の見直し(適正化)の概要 ――――――――――

 

 

 

<概要>

現状の退職給付の実態を踏まえ、勤続年数5年以下の役員等以外の退職金について、雇用の流動性等に配慮しながら、退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分について、2分の1課税の適用から除外することとされます。

 

具体的には、次のように計算することになります。

 

 

勤続年数5年以下の役員等以外の退職金に係る所得税額

 

●「退職金の額-退職所得控除額」が300万円以下

→{〔退職金の額-退職所得控除額〕×2分の1}×税率

 

●「退職金の額-退職所得控除額」が300万円超え

→{150万円+〔退職金の額-(300万円+退職所得控除額)〕}×税率

 

 

〔参考〕勤続年数5年以下の役員等の退職金に係る所得税額

→{退職金の額-退職所得控除額}×税率

注.全額について、2分の1課税の適用なし(平成25年分の所得税から適用)

 

<施行時期>

この改正は、令和4年分以後の所得税について適用されます。

この改正に伴い、退職手当等に係る源泉徴収税額の計算方法及び退職所得の受給に関する申告書の記載事項について、所要の整備を行うこととしています。

 

 

 

 

 

☆ 勤続年数5年以下の退職金が対象で、ある程度高額なものについては2分の1課税を適用しないこととするものです。ひとまず、影響は限定的といえるでしょう。

 

しかし、優遇されていた退職所得課税の仕組みの見直しが一歩進んだともいえます。将来的には、2分の1課税がさらに縮小されるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

70歳までの就業機会確保の努力義務化がスタート 事業主を支援する助成金も

 

 

令和3年4月から、改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会を確保するため、定年引上げ、定年廃止、継続雇用制度の導入、労使が同意した上での雇用以外の創業支援等措置の導入のいずれかを講じることが、事業主の努力義務とされました。

 

このような措置の導入を支援してくれる助成金がありますので紹介させていただきます。

 

 

 

―――― 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)のポイント ―――――

 

 

 

 

概 要 次のいずれかの措置を導入した事業主に対して助成を行うコースです。

 

A. 65歳以上への定年引上げ

B. 定年の定めの廃止

C. 希望者全員を対象とする66歳以上の継続雇用制度の導入

D. 他社による継続雇用制度の導入

 

支給額 定年引上げ等の措置の内容や年齢の引上げ幅等に応じて、下表の金額を支給します。

〈補足〉「D. 他社による継続雇用制度の導入」については、下記表の支給額を上限に、他社における制度の導入に要した経費の1/2の額を助成します。

 

 

画像1

 

 

※1 申請事業主が雇用している65歳以上の者であって、定年後等に雇用されることを希望する者を、

その定年後等に他の事業主が引き続き雇用することにより、雇用を確保する制度の導入をいいます。

 

 

 

 

☆ 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)の対象となるA.~D.の措置は、70歳までの就業機会確保措置(高年齢者就業確保措置)のうちの「雇用による措置」となります。

 

上記の助成金や高年齢者就業確保措置の詳細につきましては、お気軽にお尋ねください。

 

 

 

 

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