【労働法】精神障害に関する労災認定基準について

近年、精神障害の労災請求件数が大幅に増加しており社会問題化していますが、請求件数増加の 結果、その認定のための審査期間が長期化しており、現在では平均約8.6ヶ月を要するまでになって います。そのため、審査の迅速化や効率化を図り、6ヶ月以内の認定審査の決定を目指すため、「心 理的負荷による精神障害の認定基準」について見直しが行われました。

新しい労災認定基準では、まず、以下の3つのいずれの要件も満たした場合に、業務上の疾病と して労災認定が行われるとされています。

 ①対象疾病を発病していること。

 ②対象疾病の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること。

 ③業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認められないこと。

このうち、業務による心理的負荷の強度の判断についてはその手順と内容が具体的に示されてい ます。その手順としては、まずは「特別な出来事」があったか否かを判断します。

この「特別な出来事」には「心理的負荷が極度のもの」と「極度の長時間労働」があり、具体的 には以下の内容が挙げられています。これらの出来事があった場合には心理的負荷の総合評価は 「強」と評価されることになります。

・生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした。

(業務上の傷病により6ヶ月を超えて療養  中に症状が急変し極度の苦痛を伴った場合を含む)

・業務に関連し、他人を死亡させ、又は生死にかかわる重大なケガを負わせた(故意によるものを除く)。

・強姦や、本人の意思を抑圧して行われたわいせつ行為などのセクシュアルハラスメントを受けた。

・その他、上記に準ずる程度の心理的負荷が極度と認められるもの。

・発病直前の1ヶ月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労  働を行った(休憩時間は少ないが手待ち時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除く)。

 

そして、「特別な出来事」に該当する出来事がない場合でも、「業務による心理的負荷評価表」 に当てはめて総合評価を行い、「強」、「中」、「弱」の三段階に評価します。例えば、1ヶ月に 80時間以上の時間外労働を行った場合や、会社で起きた事故・事件について、責任を問われた場合 の心理的負荷の強度は「中」とされ、このような出来事が複数ある場合には、全体でその心理的負 荷の評価が行われることになります。 これらにおいて、総合評価で「強」とされたものに関しては、業務による強い心理的負荷が認め られたとして、②の要件を満たすと判断されます。

なお、このほかにも、発病直前の連続した2ヶ月間に、1ヶ月あたりおおむね120時間以上の時間 外労働を行った場合で、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであった場合には、 心理的負荷の強度は「強」となるなど、具体的な時間数がこの負荷評価表に記載されており、従来 以上に長時間労働への具体的対策が求められる内容となっています。

 

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