● 内 容
ジャパンレンタカー事件(労働契約の雇止め) 津地裁 平成28年10月25日
● 概 要
・会社はレンタカー事業とカラオケ事業を営んでいた。
・会社は、従業員をアルバイトとして、6か月もしくは2か月の期間を定めた労働契約を継続更新する形で、約22年雇い続けた。
・会社は、従業員の睡眠障害の発症や接客態度を理由として、労働契約を更新しないこととした。
・従業員は、労働組合に加入し継続雇用を求めたが、会社が応じなかったため、解雇無効、未払い残業代の支払い、社会保険の未加入に対する損害賠償請求等の訴えを起こした。
・ 裁判所は、解雇無効とし、おおむね従業員の主張を認めた。
● 解 説
1年や6か月等と期間を定めて雇用契約を結び、期間到来とともに契約を終了することは解雇には該当しませんので、契約を終了することに原則として理由は問われません。
しかし、このルールを悪用して、契約を何度も反復更新して、いつでも辞めさせることができるようにする会社が多く出現し、社会的な問題になったため実態に応じて解雇として取り扱い、その上で解雇をするような客観的、合理的な理由が問われるようになりました。
今回の判例は、長期にわたり雇用関係があったこと、正社員と同様の業務をしていたこと、他に更新されなかった者はいないこと等により、実態的に解雇とみなし、その上で会社が主張する睡眠障害等の理由では解雇できないと判断しています。
通常、このような案件が裁判になると必ず未払い残業代の請求もついてきます。
今回の判例でも請求が行われ、残業代抑制の仕組みとして会社が導入していた「変形労働時間制」や「固定(定額)残業制」は運用面の不備から否定され、さらにペナルティー的なものとして、残業代と同額の支払いを命じる「付加金」も加算され、未払い残業代は2倍払うこととなりました。
また、裁判では否定されましたが、従業員側は社会保険に加入していなかったことにより、将来もらえるはずの年金が少なくなったことについても損害として請求してきました。
今後このような請求も増える可能性があります。
労働問題を裁判で決着することは会社にとってリスクが大きいということを認識するモデルのような判例だと思います。
感情的な対立にならないように、どのように話を収めるかという視点が大事ですね。
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