【判例】トヨタ自動車事件(定年再雇用後の職種変更)

● 内 容

トヨタ自動車事件(定年再雇用後の職種変更)   名古屋高裁 平成28年9月28日

 

● 概 要

・従業員は、大学卒業後に採用され60歳の定年まで事務職の業務に従事していた。

・会社は、再雇用制度において一定の基準を設け、その基準に満たない者について、所定労働時間を4時間とし、パートタイマー就業規則に定める職務に従事させることと定めていた。

・会社は、従業員が基準に満たなかったため、上記ルールにのっとりパートタイマー就業規則に定める業務として“清掃業務等”を提示した。

・従業員は、これを拒否し再雇用されなかった。

・その後、従業員は会社の対応は問題があるとし慰謝料を求め提訴した。

・高裁は、会社の行為が不法行為に該当するとしパートタイマーとして雇用された際に得られたであろう給与額相当の賠償を認めた。

 

● 解 説

年金の財源が厳しくなる中、60歳の定年後に65歳まで再雇用等をすることが平成25年から義務付けられています。

今回の判例は、定年を迎え再雇用される従業員の業務について、会社はどの程度まで自由に定める(変更する)ことができるのかという点で争いになりました。

 

今回の判例では、元々事務系の社員であったにも関わらず、シュレッダーのごみ袋交換及び清掃業務等に従事させることは、本来のスキルを発揮できる環境でなく、実質的に解雇をして新規に清掃員として採用したことと変わらないので、再雇用制度の趣旨に反するとしました。

そして、妥当な仕事を与えたときに得られたであろう給与について支払いを命じました。

 

ちなみに、どの程度までの職種変更が可能かについて、判決文の内容を極めて簡単に説明すると「同じ地方公務員でも消防署勤務の人に学校給食の仕事をやらせることは無茶でしょう。」というものでした。そう考えると、それほど狭い範囲で締め付けている訳ではないと思います。

 

なお、今回の判例の中で会社は、この従業員が過去に社内で暴力事件を起こして懲戒処分を受けていることや素行不良であったことを主張していました。

よって、会社は再雇用をしたくなかったのだと思います。

しかし、このような下心がある状態の争い事が裁判になった時には、99%の確率で負けるというのが私の感覚です。

 

もし、社内で暴力事件を起こしたときに、きちんと懲戒解雇等の処分が出来ていれば、訴訟になっても認められた可能性が高いと思います。

そう考えると問題の先送りは、リスクを高めるといえるのではないでしょうか。

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