【判例】トーコロ事件(36協定の有効性)

● 概 要

・会社は卒業アルバムなどの製造を業とし、従業員はオペレーターとして雇用されていた。

・会社は業務の繁忙を理由に、従業員に残業を命じた。

・従業員は、「眼精疲労である」とする診断書を提出して、これを拒否した。

・会社は、従業員に自主的に退職するように促したが、従業員は応じなかった。

・会社は、協調性がなく時間外労働命令に従わなかったとして従業員を解雇した。

・その後、従業員は、解雇は無効であるとして訴訟を起こし、最高裁まで争われた。

・裁判所は、そもそも36協定が無効であったとして、従業員の主張を認めた。

 

● 解 説

労働基準法は、1週間40時間、1日8時間を超えて労働させることを禁止しています。

この時間を超えて残業をさせる場合は、労使間で『協定』を結ばなければなりません。

一般的に『36(サブロク)協定』と言われるこの協定は、会社と労働者の代表者が今後1年間について残業のルールを決め、毎年労働基準監督署に提出することによって有効となります。

 

さて、残業命令を正当な理由がないにも関わらず、応じない場合には解雇が認められるケースも実際にありますが、今回は、残業命令の根拠となる『36協定』の有効性が争点となりました。

『36協定』が有効と見なされるためには、以下の者と協定を締結する必要があります。

① 労働者の過半数で組織する労働組合 

② 上記がない場合は、“労働者の過半数を代表する者” 

 

“労働者の過半数を代表する者”は、労働者により選出され、各労働者に適否を判断する機会が与えられていないと正しく選出したと認められません。

本件の会社では①がないため②を採用したのですが、社内の親睦団体である「友の会」の代表者を自動的に代表にスライドしたため、労働者の代表と認められないと判断されました。

 

『36協定が無効』 ⇒ 『残業命令が無効』 ⇒ 『解雇も無効』

 

この裁判の背景には、上司の「有給休暇の取得は、病気の場合のみ認める。」との発信に対しての反発等、以前から人間関係の悪化があったようです。

労務トラブルを避けるためには『感情的な対立の回避』と『隙のない労務管理』の両輪が重要になりますね。

 

 

 


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