2019(平成31)年3月8日付けで、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案」が、国会に提出されました。
この法案は、女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備しようとするもので、特に、パワーハラスメント防止対策の法制化が盛り込まれていることが話題となっています。概要をチェックしておきましょう。
―女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案の概要―
<改正の概要>
1.女性活躍の推進【女性活躍推進法】
⑴ 一般事業主行動計画の策定義務の対象拡大
一般事業主行動計画の策定義務の対象を、常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大する。
⑵ 女性の職業生活における活躍に関する情報公表の強化及びその履行確保
情報公表義務の対象を101人以上の事業主に拡大する。また、301人以上の事業主については、現在1項目以上の公表を求めている情報公表項目を「①職業生活に関する機会の提供に関する実績」、「②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績」に関する項目に区分し、各区分から1項目以上公表することとする。
あわせて、情報公表に関する勧告に従わなかった場合に企業名公表ができることとする。
⑶ 女性活躍に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし(仮称))の創設
2.ハラスメント対策の強化
⑴ 国の施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決の促進」(ハラスメント対策)を明記【労働施策総合推進法】
⑵ パワーハラスメント防止対策の法制化【労働施策総合推進法】
① 事業主に対して、パワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設
あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備
② パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による調停の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備
⑶ セクシュアルハラスメント等の防止対策の強化【男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、労働施策総合推進法】
① セクシュアルハラスメント等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化
② 労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いを禁止
※パワーハラスメント及びいわゆるマタニティハラスメントについても同様の規定を整備
<施行期日>
公布日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日
(ただし、1⑴⑵の対象拡大は3年、2⑴は公布日。また、2⑵①について、中小事業主は公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日までは努力義務)
☆ いずれも、企業に及ぼす影響が大きい改正になりそうですね。
特に、ハラスメント対策の強化は気になるところかもしれません。
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